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スタンダード会員限定キラリ☆わが社の星(53) クリナップ 田中 美千子さん(1)

住宅新報 2010年7月20日 号 9面

会社の『財産』を守る

 どのような業界であれ、製品には数々のアイディアや技術、商標、意匠上の工夫が盛り込まれている。そして製品を製造販売する企業にとっては、それらはかけがえのない財産である。だから特許や意匠、商標を取得して権利を守る。今回ご登場いただく、クリナップの田中美千子さん(法務・監査部知的財産課係長)は、そうした会社の財産に関わる仕事をしている人物だ。

 いうまでもないが、自社が開発する商品について他社の権利を侵害していないかチェックしたり、逆に他社発売した商品が自社の権利を侵害していないかについて気を配る。「権利を侵害していることをご連絡させていただいたり、先方の会社と話し合いを持つこともあります」と田中さん。また、特許などの申請や取得した権利の維持管理も重要。特許庁とそうしたやりとりを行うのだそうだ。まるでスパイ?

 例えば自社の新商品開発の場合。発売に至るまでにカタログの作成や営業研修など様々な作業が行われるが、特許などの申請が完了するまで、外部に情報が漏れないよう慎重な社内調整が必要となる。情報がオープンになると権利化できないからだ。特許庁へ申請した後に内容が公開されるまでは「できるだけクリナップが何をしたいのかわからないように気を配ります」。まるでスパイの世界みたいですね、と問いかけると、田中さんは「そんな部分もあるかもしれません」と苦笑いしていた。

 ところで、クリナップといえばキッチンを主力とする水回り機器の老舗メーカー。1973年(昭和48年)に「システムキッチン」を発売し、この言葉は広く世の中に認知されている。ただ、このシステムキッチンという言葉には特に権利は発生していないのだという。商標出願したものの、既に普通名称化しているとの特許庁判断により、登録にならなかったためだ。登録商標で対応

 牧歌的な時代の話。だが、今はちょっと事情が違うよう。クリナップが発売して大ヒットとなった商品に、キッチンの最下部に足元収納「フロアコンテナ」を搭載した商品がある(2000年商標登録)。その後業界全体が同様のデザインの商品を投入したのだが、この「フロアコンテナ」という言葉があちこちで使われ始めたのだそうだ。さすがに同業の大手ではなく、流通の世界での話だそうだが、例えばネットの世界で「フロアコンテナタイプ」という使われ方をしたとのこと。

 「当社にとっては、新しいキッチンのかたち、それ以前のキッチンとそれ以降のキッチンを区別するものとして発売したものでしたから」。だから登録商標を元に、同社の権利を守るための適切な対応をしたという。

 取材当初、特許だとか権利だとかという世界は、筆者にとっては遠い世界だと感じられ、実は頭を抱えていた。田中さんはこんな事例で分かりやすく解説して、理解を助けてくれた。

 (住生活ジャーナリスト・田中

 直輝)

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