これで宅建が分かる!(12) 履行の着手って?(2)
住宅新報 2010年7月20日 号 6面
宅じい
さて、今回は前回に引き続いて「手付」について見ていこう。宅美
はい。「手付流し、手付倍返し」の手付ですね。宅じい
ようやく覚えたな。忘れないように図にしておいたぞ。宅美
何か、フツーの図。すぐ忘れちゃいそうです。宅じい
ああ言えば、こういう奴じゃ。そして、手付け解除ができるのは、「相手方が履行に着手する前」という所で終わったんじゃったな。宅美
そうそう、履行に着手ってどういうことですか?宅じい
判例から引用すると、「客観的に外部から認識できるような形で履行行為の一部をなしたこと、または履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をしたこと」だ。宅美
全然、分かんなーい。宅じい
簡単に言うと、もうあとちょっとで義務を果たせますという所まで来たということだ。宅美
???宅じい
ここはのう、結構争われるんじゃ。その中で出てきた例をあげると、まず売主側の履行の着手といえるのは、売買物件の一部の引渡し、買主の求めに応じて建築材料の提供などだ。そして、買主側の履行の着手というと、内金の支払いとか、代金を用意しており売主側が応じればすぐにでも支払える状態になったときなどじゃ。宅美
なるほど。まさに、今すぐにでも履行ができるってカンジですね。宅じい
そうじゃ。なお、一応言っておくが、民法の条文では「当事者の一方が履行に着手するまでは」と、当事者の一方としているが、これは最高裁の判例で「相手方」という意味であり、自分が履行に着手していても相手方が着手していなければ、手付による解除が行えるとしておる。宅美
それが何か?宅じい
自分が履行に着手することが解約手付の性質を失わせるとしたら、履行に着手せんじゃろうが。宅美
そうか。分かった、みたいな。宅じい
何じゃい、それは。さて、もしこちら側が履行に着手したとして、相手方が契約を解除したいと思ったら、どうする?宅美
手付による解除はできないってわけですよね。宅じい
そうじゃ。こういう場合は、相手方が履行に応じないので、債務不履行による損害賠償責任を負うことになる。宅美
なるほど。でも、履行に着手って難しいですね。いっそ、○月○日手付金交付……○月○日内金交付として、その間の日付○月○日までは手付による解除ができるっていうように、手付解除の期限を特約で定めたらどうです?宅じい
なかなかいいアイデアで、実務でも取り入れられているぞ。やはり、揉めがちじゃからな。宅美
エッヘン!宅じい
しかし、売主が宅建業者、買主が一般消費者の場合にはダメじゃ。宅美
えー、何でですかぁ?宅じい
宅建業法39条2項では、「…当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手附を放棄して、当該宅地建物取引業者はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる」としているから、いくらお互いが納得していても履行の着手に関係ない、日付で手付解除を認めなくすることは、「前項の規定に反する特約で、買主に不利なものは、無効とする」となるのじゃ。宅美
そっかあ。消費者にとってもメリットあると思ったんだけどなあ。宅じい
それよりも、しっかりと履行に着手する、すなわち、きちんとした契約をしなさい、ということじゃろう。ちなみに、宅建業法では、手付の額についても制限しておる。宅美
へー。何でですか?宅じい
考えてもみなさい。例えば、手付として3,000万円のマンションの半額1,500万円を受領したとするじゃろ。宅美
はい。宅じい
宅美はそれでも手付け放棄するかな?宅美
うーん。1,500万円放棄っていうのは、なかなかできないですよね。宅じい
そうじゃろ、そうじゃろ。ということは、実質手付流しによる解除をできなくさせていることになる。そこで、手付は代金の10分の2までとし、それを超える部分については手付とはみなさず、もし、内金を代金に充当する特約があったら、代金と推定することになるのじゃ。宅美
いろいろな法律の規定には大事な意味があるんですね。宅じい
その通りじゃ。ではまたー。













