増える若者1人住まい--未来が見えますか(上) 結婚よりも楽しいくらし
住宅新報 2010年7月20日 号 1面
20-30代の単身世帯の割合が増えている。晩婚化の流れが加速し、親許を出てから1人で生活する期間が長期化しているためだ。生涯未婚率も増えており、必ずしも未来の結婚を前提に、人生設計がなされているわけでもない。将来が見えにくい若い世代。今、彼らが住まいに求めるものは何か。
年齢別の単独世帯率(国勢調査データを基に作成)を見ると、20代前半では85年から05年までの20年間の変化は微増だが、年齢が高くなるほど1人住まいの割合の増え方が大きい。30代では2倍近くにも上昇している。◇晩婚化が加速
その大きな要因が未婚率の増加だ。25-29歳の女性の未婚率は85年には約3割だったが、05年では2倍の約6割にもなっている。30-34歳では約3倍だ。男性も女性ほど急激ではないものの、上昇傾向にある。
ある30代の女性は「周りも単身者が多いので、特に焦りは感じない。むしろ、今の生活スタイルを変えたくないという気持ちの方が強い」と話す。
「晩婚化が進んでいるのは所得の問題が大きいと思う。共稼ぎは当然としても、所得が下落傾向にある今、生活を固めてしまう不安が大きい」(30代女性)という声も。
物質的には豊かな環境で育った世代だけに、経済的な妥協はしたくないという気持ちが強いようだ。心の面でも、インターネットや携帯電話が普及し、いつでも誰かとつながりを持つことができる。
一方、男性も「コンビニもあればファミレスもあるので、食事に困ることはない。特に結婚の必要は感じない」(30代男性)と話す。
男女とも、一人暮らしに寂しさを感じないことが晩婚化を後押ししている。ある60歳代の男性は昔をこう振り返る。
「私たちの頃は、結婚しているかいないかで、例えば社宅の広さも違うなど、生活レベルに格段の差があった。とにかく、結婚して子供を持つことに夢を持ったし、独身のうちは半人前扱いだった。1人暮らしは家事も大変で、早く結婚したいと誰もが思った」
生涯未婚率(50歳時点で1度も結婚していない人の割合)も急速に高まっている。国立社会保障・人口問題研究所のデータによれば05年で男性が16%、女性が7%だが、40年前の65年にはそれぞれ1.5%、2.5%だった。30年には男性が30%、女性は23%にまで高まるという予測もある。
高齢者に限らず、割合では若者世代でも増え続ける単身世帯。1人住まいだが、20代後半から30代が住宅取得適齢期であることは変わらない。住宅業界にはどんな影響をもたらすのだろうか。
東急不動産のグループ会社はこのほど、単身や小家族向けのコンパクトマンションを主な投資対象とする「コンフォリア・レジデンシャル投資法人」を設立した。東京圏の賃貸需要は底堅く、安定収益が見込めると判断してのことだ。
「1人暮らしを思い切り楽しめる住まいがほしい。立地も妥協したくないので当分は賃貸暮らし」と考える若者が増えていることも確かだ。◇生活に充実感
一方、依然として単身女性のマンション購入が増えていることも注目だ。マンション選びで失敗しないための講座も人気を集めている。小島ひろ美氏が代表を務める「女性のための快適住まいづくり研究会」の会員数は現在5万6000人。そのうちの約35%は購入済者だ。同氏によると「リーマンショック後から、購入する女性が急激に増えた」という。住宅ローン金利の低下や、物件が手の届きやすい価格まで下がってきているためだ。
会員の約4割が30代。最近は20代後半も増えている。年収400万-600万円で一般職のOLがほとんど。特別なキャリア層ではないため、不景気になっても収入の変動は小さいという。購入する物件は1LDKや2LDKだ。
「今の生活をより充実させたい、豊かにしたいと考えた結果がマンション購入になっている。彼女たちは終の棲家とは考えていない。将来、売却や賃貸に出すことも考えて、都心・駅近のように資産価値の下がりにくい物件を選ぶようにアドバイスしている」(小島氏)。今春からは、単身男性向けのマンション購入講座も始まっている。
前出の研究所の予測によると、単身世帯が今年「夫婦+子」世帯を上回り、その割合は年々増加していく。家族の単位が核家族から<個>へと変化しつつある今、若い世代にとって住まいの意味が大きく変わろうとしている。その変化を見据えれば、住宅市場に新たな風を呼び込むことができる。
(井川
弘子)













