これで宅建が分かる!(11) 解除権の発生って?
住宅新報 2010年7月13日 号 6面
宅じい
さて、またまた「債務不履行」の続きじゃ。前回は、契約解除権の途中じゃったな。宅美
そうそう、履行遅滞の場合は、相当の期間を定めて履行を催告しなくちゃダメで、その期間内に債務が支払われないときにはじめて契約を解除できるってことでした。宅じい
じゃあ、履行不能の場合はどうかな?宅美
おんなじでしょ?
相当の期間を定めて催告……。宅じい
いや、違うんじゃ。履行遅滞の場合は、履行が遅れているので、待っていれば履行してもらえる可能性もある。しかし、履行不能の場合は、今までの例でも見たように、もう家が焼失してしまって、引き渡すことはできない。ということは待っていてもしょうがないので、すぐに契約解除ができるのじゃ。宅美
なるほどー。宅じい
民法の一部の学説では、もう一つ「不完全履行」というものがある。宅美
何ですか、それ?宅じい
一応、物を引き渡したり、義務を果たしたりはしたんじゃが、それが中途半端だった場合じゃ。ずさんな工事で柱が少なかったとか、ネジとナットを800セット頼んだのに、ネジだけ700しかなかったとかじゃな。宅美
私も親からよく、「何をやっても中途半端なんだから」って怒られました。宅じい
ハンパねえ!宅美
宅じい、無理して若い人の言葉使ってもダメですよ。宅じい
うほん。この場合、もし追加で義務が果たせることが可能であれば、履行遅滞となる。前の例で言えば、「100足りないネジを追加で送れ」と請求できるし、遅延による損害賠償も求められる。宅美
ふむふむ。宅じい
また、追加で義務が果たせない場合、例えば柱の数が足りなかったけど、もう後からでは柱を設置できない場合などじゃな、こういう場合は履行不能と考え、すぐに契約解除と損害賠償請求ができる。このように、結局は履行遅滞と履行不能に収斂(れん)されるので、不完全履行という概念は必要ないという学者もいるのじゃ。宅美
やあだ、難しい言葉使って。収斂の斂ってイカみたいな字ですね。宅じい
何を言っちょる。さて、大体「債務不履行」については分かったかな。では、ここで出てきた「契約解除」について詳しく見ていこう。解除権にも2つある。宅美
介助犬って偉いですよね。宅じい
こりゃー!
読み方は同じだけど、違う違う。解除できる権利ということじゃ。宅美
はーい。宅じい
返事だけはいいんじゃがな。1つが今まで見てきた債務不履行に伴う解除権、法定解除じゃ。法律の規定で解除できる権利が与えられているから、法定解除という。宅美
ふむふむ。宅じい
これに対し、当事者の契約で解除権が生まれるのが約定解除じゃ。宅美
やくていかいじょ?宅じい
「やくじょう」じゃ。いい例が手付けじゃ。宅美
よく聞きます。手付流し、手付3倍返しって。宅じい
手付倍返しじゃ。3倍も返してどうする。いわゆる解約手付じゃな。宅美
解約手付?宅じい
そう。手付けの額だけの損失を売主、買主がそれぞれ負いさえすれば、契約を解除できるというものじゃ。宅美
具体的には?宅じい
例えば、3,000万円のマンションの売買契約で、買主が200万円解約手付を交付したとする。買主はその200万円を放棄すれば、相手方が履行に着手する前であれば、この契約を解除できる。売主は、受領した200万円の手付に200万円を足して買主に払えば、やはり契約を解除できるというわけだ。このように、お互い手付相当分だけを負担することで解除権を発生させている。約定解除というわけじゃ。宅美
「履行に着手」って何です?宅じい
その解説は次週に行おう。ではまたー。













