キラリ☆わが社の星(49) 長谷工コーポレーション 林 徹さん(1)
住宅新報 2010年6月22日 号 7面
マンションに「長期優良」
『逆風』の中、果敢に挑戦
『良い住まいとは』と問いかけられた時、皆さんは何と答えるだろうか。いろんなことがいえるのだろうが、筆者の場合は単純に「長く住み続けられる要件を備えた住宅のこと」と答え、そして「長期優良住宅」という考え方を説明するようにしている。制度が示す方向性こそが、冒頭の問いに対する最も分かりやすい回答だと思うからだ。
その長期優良住宅の認定制度がスタートしたのは昨年6月。ほぼ1年が経過したわけだが、認定件数をみると戸建て住宅が先行。構造上の要件を満たしやすいためだ。ただ、大手のハウスメーカーから中小の業者まで軒並み「当社は対応しています」とアピールしている状況で、一方では長期優良住宅の対応では差別化ができなくなっている感がある。細かく見ていくと、間取りの可変性などハードの部分はもちろん、維持管理計画の達成や住宅履歴のあり方など、本当は様々な違いがあるように感じられるのだが。先立つ取り組み
前置きが長くなった。ではマンションに関してはどうだろうか。長谷工コーポレーションの取り組みはその点で注目される。業界に先立ち、これまでさいたま市浦和区と大阪府吹田市の2プロジェクトで『長期優良住宅認定マンション』を手掛けているからだ。
林徹さん(技術推進部門技術研究所第1研究開発室チーフエンジニア)は、「長期優良住宅」には欠かせない更新性と可変性を実現する独自のクラディングシステムを導入すべく、計画当初から参画している人物。
「ストック型社会への転換が求められてきた4-5年前からスタートした長期優良住宅の『いいものをつくって、きちんと手入れして、長く大切に使う』という考え方は、当社の理念と一致していた。そのため、今まで蓄積してきた技術を生かして、当社独自の先導的技術として事業に盛り込むことができた」と経緯について語る。
とはいえ、マンションで長期優良住宅の認定を取得するのは基本的な条件を満たすだけでもハードルが高い。「敷地条件や地盤にもよりますが、耐震性や可変性といった構造上の要件を満たすだけでコストアップになるからです。浦和の場合の試算では、建設費用が住棟部分で13-15%アップと想定しています」とのことだ。
最近になってマンション市況にも改善の兆しが見え始めているが、着工した昨年7月は市況が厳しかった時期で「いいものができることは分かっていても、お客様に受け入れられるかどうかは不透明な状態でした」。要するに、わが国初の長期優良住宅認定マンションは、逆風の中で進行していったというわけ。その部分でも今回の取り組みは高く評価されるべきだろう。
林さんは、プロジェクトに採用されている重要テーマの1つ「更新性・可変性に関するALC無溶接工法の開発」に取り組んできた。次回はその内容に踏み込むことで、林さんの仕事ぶりや人となりも紹介したい。
(住生活ジャーナリスト・田中
直輝)













