ニュースが分かる! QアンドA 「家賃債務適正化法案」で注意すべき点は?
住宅新報 2010年5月25日 号 9面
滞納催促に規制、逮捕のケースも
家主も対象、慎重な対応が必要に
社員「店長大変です。今度新しい法律ができて、滞納家賃の督促の仕方によっては不動産会社の社員が犯罪者扱いされることになるみたいです」
店長「それは『賃借人の居住の安定を確保するための家賃債務保証業の業務の適正化及び家賃等の取立て行為の規制等に関する法律案』とかいう長い名前の法案のことだよ。今国会審議中だから近く成立するみたいだな。先週、その法律の勉強会に行ってきたんだ」
「少し解説してあげよう。この法律は、不当な家賃取立てを禁止するほかに、家賃債務保証業者の登録義務化と滞納情報データベースなどの適切な運用を確保して、賃貸入居者の居住の安定を図るのが目的なんだそうだ」
社員「滞納家賃を取立てるのを規制するなんて、何だか矛盾しているじゃないですか」
店長「最近、不景気だから、家賃が払えなくなってしまった人が増えて、こういう人たちの家の玄関をカギロックといって出入りできなくしたり、夜遅くに電話や訪問したり、貼り紙で家賃を催促することが借りている人の生活を脅かすといって社会問題になっているんだ。ひどいケースになると、滞納者の家財道具を持ち出したり、カギのシリンダーごと抜きとって軟禁状態なんてのもあるらしい」
社員「もちろんうちは、そんなことしませんが、払わない方が悪いんじゃないですか」
店長「普通に考えれば、約束通り払わないほうに非があるんだが、日本は、社会の安定を図る理由から、強硬手段に訴えるような「自力救済」の考え方は根本的に認められていないんだよ。だから払えないものを無理やり払わせるような行為やおどかしなどは違法とみなされる。家賃滞納も裁判とか法的手段によって解決するしかないんだ。裁判になれば時間もお金もかかるし、滞納額も更に増える可能性もある。だから強引に取立てたり、はたまた退室させようとするトラブルが相次いでいるんだ」
「法案で取立ての対象になっているのは、不動産会社と家賃保証会社、それに大家さんもなんだ。だから大家さんから厳しく取立てるように言われても、法律に従った督促しかできないし、もし違反して見つかったら我々業者はもちろん大家さんにも責任が及ぶ可能性がある。大家さんにもよく理解してもらわないといけなくなるな」
社員「とにかく督促はこれから気をつけないといけませんね」
店長「そうだ、勉強会でもらってきた資料にはね、『面会、文書送付、貼り紙、電話などの手法を問わず人を威迫すること、人の私生活、業務の平穏を害するような言動』が禁止行為になってる。ドアロックとか家財の持ち出しや保管、深夜・早朝の督促はだめだし、こういう行為を相手に告げること自体も規制されるといってた」
社員「もし違反したらどうなるんですか」
店長「2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金だから、やったら逮捕されちゃうぞ」
社員「厳しすぎますよ」
店長「そうだな。失業や給料が減って気の毒な滞納者がいる一方で、家賃を滞納しているのに高級外車を乗り回していたり、困ってもいないのに平気で家賃を滞納している確信犯も中にはいるんだよ。不当な取立てを禁止するのは当然としても、本来、家賃を請求する正当な権利があるのに取立てに細かな規制の網がかかることや、逆手にとって確信犯のような行為が助長される恐れすらある。不動産会社や大家さんが今一番心配しているのはそこなんだ」
社員「確信犯は許されないですよね」
店長「本音を言えば、滞納になったら、双方合意のうえで速やかに退室してもらうのが最善の解決策なんだけど、そこまで踏み込んだ法整備ができなかったのは残念だな」













