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スタンダード会員限定不動産取引現場での意外な誤解 賃貸編(20) 店舗の賃貸借で、貸主に無断の営業主変更の効果は?

住宅新報 2010年5月25日 号 8面

Q

 店舗の賃貸借で、借主が、営業途中で、貸主に無断で営業主を第三者に変更する場合があります。そのような行為は、無断転貸になるのではありませんか。A

 ケースによります。例えば借主とその第三者との間で「営業委託契約」といった名目の業務委託契約が取り交わされ、営業も従来の名称で行われていたとしても、実質的な店舗の使用者が第三者になり、その営業上の損益も第三者に帰属するというようなケースだとします。

 この場合には、いかなる名目で店舗や営業権の使用料が支払われていたとしても、それは賃借権の無断譲渡ないし賃借物の無断転貸といった、民法612条の脱法行為になると考えられます。Q

 店舗の営業を自分以外の者に行わせることはよくあることですが、この賃借権の譲渡や賃借物の転貸になるかどうかの見極めは、具体的にはどのような判断基準で行われるのですか。A

 先程も申し上げた通り、営業の委託を受けた者が、実質的に見て、店舗の使用・収益を排他的に行い、委託者(借主)からの経営上の指揮監督に服していないときは、形式にかかわりなく、賃借権の譲渡または賃借物の転貸に当たると解されます(判例)。Q

 ということは、もし借主がそのような賃借権の無断譲渡なり、賃借物の無断転貸を行っているとしたら、貸主は借主に対し契約の解除なり、名義書換料、つまり「承諾料」の請求が可能だということですね。A

 その通りだと思います。例えば、土地の賃貸借の場合には、借主が、賃借権の譲渡についての承諾を求める許可の裁判を提起すると、裁判所は、当事者の利益の衡平を図るため、借主に対し、一定の「財産上の給付」(つまり、「承諾料」の支払)を命じることが一般的だからです(借地借家法19条)。

 土地の賃貸借と建物の賃貸借は違うとはいえ、この賃借権の譲渡や賃借物の転貸についての考え方は同じであるべきだし、そのような名義書換料(承諾料)の請求は可能だろうと思われます。Q

 土地の賃貸借に関連した質問ですが、借地上の建物を第三者に賃貸するのは、土地の転貸に当たるのではないかという人がいますが、この点はどうなのですか。A

 そのようなことはありません。土地と建物とは別個のものであり、建物が借地人のものである限り、その自分の建物をどのように利用するかは借地人の自由だからです。

 ただ、借家人に、その借家の敷地を利用する権利があるのかどうかという点については、敷地の利用権は、借家利用権の従たる権利として、建物賃借権(借家権)に含まれるものと解されています(判例)。

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