長谷工コーポレーション 新社長 大栗育夫氏に聞く
住宅新報 2010年5月25日 号 6面
4月から長谷工コーポレーションの社長に就任した大栗育夫氏は、新卒での入社以来、一貫して設計畑を歩んできた。全身に染み付いた品質へのこだわり。ただ、「供給者目線でのこだわりではない」と話す。マンション施工会社としてトップを走り続けている同社。今後の方針を聞いた。
(福島
康二)「ユーザー目線で品質確保」
--『生え抜き社長』として4月に就任しました。
「十数年前、いわゆるゼネコン危機の時に経営が非常に厳しくなった。嵩(だけ)・岩尾体制で必死に再建したが、今度はリーマンショックなど世界的な不況による不動産市況の急激な悪化。多くのディベロッパーが破たんし、我々も大きな影響を受けた。そういった中で、『生え抜き』として会社を引っ張っていくことになった意味は、しっかりと認識している」
--設計畑を歩んできた技術職出身です。独自の経営方針は?
「これまで通り、『いいものをつくる』ということに変わりはない。今後はそれに加えて、『しっかりと手入れをして、長く大切に使う』という部分を重視していきたい。新築マンションは、将来的に増えても首都圏で年間6万戸程度の供給ボリューム。一方、ストックについてはどんどん積み上がっていく。つくった我々だからこそできる改修工事や長持ちさせる技術を提案できる」
「4月に、改修工事に特化した会社(長谷工リフォーム)を立ち上げた。老朽化したマンションの再建方法の1つに『建て替え』があるが、容積率の問題や住民合意の関係で非常に難しい点が出てくる。その代替案として、あと20年マンションを持たせるための改修工事という方法も考えられる。例えば、躯体部分にスリットを入れて耐震性を増す方法や、劣化したコンクリートを特殊加工することで再び強度を持たせることもできる。中長期視点でこれらの技術研究・開発を加速させ、新築の仕事が減り始めるであろう2015年以降、収益の柱になるよう今から準備する」
--品質重視は大きなキーワードです。
「時代は量から質へと確実に変化している。大阪と埼玉で供給している品質重視の『長期優良マンション』は順調な売れ行きだ」
--販売価格の上昇という問題が出てきます。
「確かにそうだ。『いいものにはお金がかかる』という理解を、世の中全体が共有しているとは言い難い。長期優良の場合、15%程度価格が上昇するのも事実だ。質を確保したうえでユーザー目線の価格を実現するためにも、長期優良の基準ではなく長谷工独自の基準を満たしたマンションを提供したい。『ロングクオリティマンション』として供給していく」
「基本性能はしっかりと確保し華美な仕様・仕上げを見直すことで建築コストを下げる『BeLiv(ビーリブ)工法』には、ディベロッパーからの反響もきている。また、様々なセレクトオプションを用意した『Elabel(えらべる)』のシステムにより、その人に必要な物件をその人に合った価格で提供できる。ユーザー目線の物件をディベロッパーに提供できる強みが、当社にはある」
--今後のマンションづくりにおける課題は?
「品質重視と合わせて、環境対応型マンションになるだろう。省CO2マンション--太陽光発電や風力発電の活用などが考えられる。埼玉にある技術研究所で研究を進めていきたい」













