知って得する建物の豆知識(37) 産直住宅 「持続可能な社会」へ一役
住宅新報 2010年5月25日 号 4面
その地域の産品を、その地域で消費する「地産地消」は80年代から食品の分野で提唱されており、産直住宅もこの流れの1つと言えます。遠隔地まで輸送しないためムダなエネルギーを使わないという利点があり、更に地域の気候で育ったものは、地域で消費する場合に最もその価値を発揮する(木であれば耐久性、食品であれば味のよさ)という点も、この運動の背景にあります。
林業の場合は、外国産材との価格競争に破れたこともあり、山林は管理が行き届かずに放置されるか、あるいは大資本によって採算が合うと見込まれた山だけが安易な合板原料供給地とされ、無計画な伐採が行われて、その後は禿げ山で放置されるなど、荒廃が進んでいます。こうした事態の進展に歯止めを掛け、CO2を固定化することができ、かつ再生可能な資源であるという木ならではの特長を有効活用するために、産直住宅は有望な取り組みであると言えます。質、価格面で優位性
産直住宅の魅力は、まずその材料の質の良さと来歴がハッキリしていることです。更に、流通ルートがダイレクトなので、輸送やストックに余計なコストが上乗せされることもなく、低価格で良材が手に入る点も魅力です。
また、環境面からは輸送に伴うCO2が削減でき、山に伐採植林育成伐採のサイクルをつくることにつながり、健康な山林の育成や林業の確立への後押しにもなります。
老成した木は、体内組織内にCO2をストックしているとはいえ、新たにCO2を吸収することはほとんどなくなります。そして、寿命が来れば倒木となり、分解してCO2を吐き出します。うっそうとした山も、ただ放置されている限りCO2吸収源としての大きな力は期待できません。自然のままに残すべき山はたくさんありますが、「木の畑」として活用すべき山もあります。そして、林業の基盤が再生すれば、CO2吸収という山の本来の役割も果たすことができるようになります。山村と都市が交流
また、消費者が林業に従事する人と出会い、山の暮らしの豊かな文化を学ぶことも有意義です。産直住宅を展開する山元では、単に木材を供給するだけでなく、木材産地ツアーに始まり、そば打ちや山菜料理、大豆料理や味噌の仕込みなど森林資源や山村の文化を体験し、理解するイベント事業を展開しているところも少なくありません。こうした試みは、山村文化の再評価、都市部と山村との相互理解やネットワークづくりの基礎となり、森づくりと地域づくりを通した「持続可能な社会」の形成にもつながっていくのではないでしょうか。
林野庁では住宅への地域材利用を促進するため、「顔の見える木材での家づくり」を推進しています。この事業の一環として、インターネット上にデータベースが作成、運営されています。「地域材で家を建てたい」「地域の山や森林について知りたい」場合は左記のサイトで知ることができます(http://iezukuridb.howtec.or.jp)。
(建築家・中村義平二)













