「社 説」 不動産営業の専門性 コンサル力高める好機
住宅新報 2009年1月27日 号 2面
未曾有の不況といっても、住宅を求める人が皆無になるわけではない。むしろ、不況の時でも家を買おうとするのは真剣な気持ちで探している人たちだから、業者としては成約率を高めるチャンスである。
ただ、売り物件が多く、買い手が少ない不況時は「買手市場」となるため、顧客はじっくりと検討し、慎重に物件を選ぶ。真剣ではあるが、慎重でもあるユーザーの気持ちを決めさせるためには、実践向きの豊富な知識を駆使したコンサルティング能力が欠かせない。
例えば、住宅を購入しようとしている人たちは、様々な不安を抱えている。ローンが払えるか、築20年でも耐震性は大丈夫か、そもそも今決めてしまっていいのだろうか--と。
対応する業界サイドは、その不安を聞き出し、一つひとつ丁寧に答え、安心してもらうことが重要だ。ところが、すべての不安や問題点を解決したとしても、顧客はまだ決断できないだろう。なぜなら、最終的に住宅を買うという選択自体、間違っていないだろうかと悩むものだからだ。
その最後の不安を飛び越えてもらうためには、結局のところ、営業マンを信頼してもらうしかない。営業マンへの信頼は、人間としての誠実さと専門知識が生み出すものだ。
しかし、専門知識をただ有しているだけでは意味がない。普遍的な知識を顧客一人ひとりのニーズに合わせた活用ができて、はじめて効果が生まれる。例えば、親との同居目的で住宅を探しているが、親が必ずしも乗り気ではないとしたら、評判のいい有料老人ホームを紹介できるなど、幅の広さが重要だ。
中古住宅の購入者がリフォームに不安を感じていることが分かった時、単に信頼できる業者を紹介できるだけでは弱い。総予算という一定の枠の中で、顧客のニーズを最大限かなえるために物件購入費用とリフォーム費用の割合も調整しつつトータルな提案ができるのが理想だろう。
不動産にかかわる様々なリスク増大と顧客のニーズ多様化で、仲介業はコンサルティング化が不可避の流れとなっている。コンサル能力を支えるものは専門知識だが、コンサルタントとしての信頼性は顧客の利益を最優先するエージェントとしての姿勢から生まれる。そのため、不動産業者が専門知識を十分に活用し、ユーザーからの信頼を確保していくためには、その業態を仲介からエージェントへシフトしていくことも重要になってくるだろう。
不動産業者に求められる専門知識は、学問のように机上のものではない。例えば、地域の条例や建築協定などは最新かつ行政による運用方針も理解したものでなければ意味がない。更に、未来を予測したアドバイスも時に重要になる。2011年7月から実施される地デジ放送への対応や、そのころ発売される通信サービスに精通していることも、住宅やリフォームをあっせんする不動産業者としては当然押さえておきたいポイントだ。













