激動の時代を生きる中堅企業 事例に見る変革と挑戦(中)
住宅新報 2009年1月27日 号 1面
不動産市況の厳しさが増す中、地域に根差す企業の堅実性が改めてクローズアップされている。地域で築いてきた膨大な顧客数と信頼をべースに新事業を展開することで、経営基盤をより強固にする動きもある。地域に密着する注文住宅事業や賃貸管理業、地方から新市場創造を目指す経営者に聞いた。(佐藤
幹彦)地域ナンバー1を目指す
「20世紀は伸びる経済の中で建設業界は追い風だった。縮む経済にある現在、かつての成功体験が通じなくなっている。既存事業の延長線上には縮小と競争激化という血を流し合う市場しか存在しない。私たちは新市場の創造に挑戦していく」--。
スズケン&コミュニケーション(徳島市)の鈴江崇文社長は、不動産と建設業を融合させた「ネオ建設業」の構築を進めている。従来のゼネコン事業から不動産・情報ビジネス業へ大きく舵を切り、経営指標も「売上規模の拡大」から「利益率や生産性」の重視に転換させる。
今後クローズアップされてくる新市場としては、(1)2戸建築し1戸を貸すことで、住宅を「住まい」から「投資」に変える『賃貸併用住宅』(2)保有する狭小敷地を資産に変える『戸建て賃貸』--を挙げる。
いずれも少額投資で、将来の年金対策になることがポイント。「比較的持ち家率が低く、年収で言えば300万円程度以上の会社員など」をターゲットに、特に郊外エリアで需要を掘り起こしていく。
また、「1社だけの力では生き残れない」とし、08年9月に戸建て賃貸を供給する全国組織「DANネットワーク」を設立。集中購買や情報交換で加盟社相互で経営力の強化を図る。既に約30社が加盟、十数棟受注した加盟社も出てきた。
鈴江社長は08年10月、父親から同社の経営を承継した。現在35歳。社長就任にあたって「地域ナンバー1を目指すことのできる、革新的分野に特化した事業だけに取り組む」ことを社員に発表。更に既存の市場枠にとらわれない本業周辺の多角経営を行う方針を示し、(1)建設(2)不動産(3)営業・教育システムの開発・運営(4)ファイナンシャル(5)新規事業の建材商品開発・流通及び家電販売など--5事業を展開していく。特に、「徳島の不動産問題解決業」を経営方針に掲げ、売地や空地などの不動産情報をメーンの経営資源とした不動産企画・流通事業を強化。オーナーと入居者、住宅取得者を結ぶことで、攻めの営業に転じる。
同社の10年度の目標は、戸建て賃貸、規格住宅、注文住宅を合わせて、徳島・香川エリアで200棟の販売、営業利益率10%、手形発行0円を掲げている。
更に将来的には、分社化ホールディング構想もあり、社員から5人の社長を育成することが目標の1つだ。
「徳島発、業界が注目する元気企業になる」ことで、先行き不安から希望を見いだせない若者の閉塞感を打破し、地元経済を活性化させたいという。
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神奈川県内の注文住宅事業でトップクラスのシェアを維持する三栄ハウス(相模原市)は県から介護保険事業所の指定を受け、08年末から福祉用具貸与事業を開始した。ストック事業を手掛けるグループ会社「三栄ネクスト」に福祉用具専門相談員ら3人からなる事業部門を設置。バリアフリーリフォームだけでなく、居室内温度差解消を目的に、躯体に手を加えない外張断熱改修工事で温度のバリアフリー化も進める。
介護保険住宅改修の年間目標は50件だ。
同社は07年に創業40周年を迎えた。この間、一貫して地域に密着した木造注文住宅事業を展開、施主は約1万人に達するという。
営業活動では、これまでに築いてきた地域での信頼を基盤に、既存顧客と相対する社員の割合を高める戦略を強化している。アフターサービスを充実させることで、新築受注の紹介やリフォームを増やしていくのが狙い。福祉用具貸与事業でその流れを更に加速させる。
中島信義社長はダーウィンの進化論を例に「環境変化に対応したものだけが生き残れる」とし、新築請負だけでなく、ストック事業を強化することで、困難を克服していく。
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福岡都市圏で約2万5500件の賃貸物件を管理する三好不動産(福岡市中央区)の三好修社長は「賃貸管理業務は安定している。実際、賃貸管理を確実に行っている会社の倒産はない」と話す。地域に根差し、オーナーから厚い信頼を得て成り立つ賃貸管理業の堅実性が、経済情勢の厳しさが増す中で際立っている。
厳しい不動産市況について三好社長は、「特別のことが起こったわけではない。過去にも、オイルショック、バブル崩壊など繰り返し起きている」と話す。住生活基本法の制定など、量から質への転換が図られる中で、「開発業務の先細りが進むシグナルはあった」と分析。ディベロッパーをサーファーに例え、「繰り返し押し寄せる景気の波に乗ろうとする波乗りのようなもの。やがて下りなければならない」と話し、「開発業務は、拡大・破滅型の産業であり、今後もやらない」と言い切る。
とはいえ、既存の賃貸管理業に安住するつもりもない。不動産業の枠を超えた「超・不動産宣言」をビジョンに掲げ、「賃貸管理業から金融サービス業へ」の転換を図っている。賃貸管理業務を入り口に、資産コンサルティング業務を強化し、生・損保、証券、現金、空き地など、オーナーの総資産を増やし、守り、次世代につないでいく。
新事業では、高齢者向け住宅、外国人居住プロジェクト、ストックを活用した介護事業などに着手している。時代の流れを見据えた社会貢献性の高い事業を展開することで、地域と共に生きていく。













