空室増が収益圧迫 大手7社賃貸事業 解約、減額が顕在化
住宅新報 2010年5月18日 号 3面
主要不動産7社のオフィスビル・商業施設を中心とする賃貸事業は、空室率が軒並み上昇し、各社の収益を圧迫した。新規稼働、通期稼働といった増収が、解約や減額改定で帳消しになった企業もあり、各社の賃貸事業は伸び悩んだ。
前期は、世界的な景気後退や金融収縮といった影響を受けて、企業の事務所移転・統合、撤退・縮小が加速。このため、昨年のオフィスビル市場は解約増加と賃料の減額改定が一気に顕在化した。
各社の賃貸事業実績を見ると、三井不動産は新規・通期稼働物件が増収に大きく寄与したが、既存物件が減収となったうえ、空室増、修理費の増加による減益効果で、営業利益は前期並みにとどまった。三菱地所は、延床面積約20万平米の丸の内パークビルが新規稼働したことや、物件売却収入で増収増益を確保した。
野村不動産ホールディングスは、グループ化したNREG東芝不動産の収益を通期計上したことで増収を確保。賃貸オフィスを主体とする住友不動産とNTT都市開発は、既存ビルの解約、値下げ改定で共に減収を強いられた。
唯一、空室率を下げたのが東急不動産。地道なリーシングで、空室率が前期比1.2ポイント低下した。
都心3区に渋谷区を加えた4区にオフィスの8割が集中し、01年以降の築浅が過半数を占める事業展開が奏功したかっこうで、ベンチャーや新興企業を中心にテナントの増床ニーズを取り込めたことも空室率低下の要因となった。
賃貸事業分野の次期予想を見ると、東京建物を除く6社が減益を計画している。急速な市況悪化の勢いは収まってきた感はあるものの、ビルの供給過剰や景気の下振れといったリスクが完全に払しょくされていないなかで各社慎重な次期計画にとどまった。
ただ、こうした中にあって今決算発表の席では、早くも空室率反転の時期を伺う発言も聞かれた。
「8.4%の空室率は『03年問題』の頃の悪い水準だ。だが半年前と比べると今は改善傾向にあり、時期ははっきりしないがそろそろ反転する時期に入る」(住友不動産)との見通しや、「今年度前半は現状の6.5%前後の空室率で推移し、埋め戻しに時間を要するので今期後半あたりから4%台あたりをメドに落ち着きを取り戻してくる」(NTT都市開発)といったと予想も聞かれ、最悪期を脱しつつあるとの認識もまた高まりつつある。













