区分所有法見直しなど 行政刷新会議規制・制度改革分科会 建て替え円滑化へ交渉
住宅新報 2010年5月11日 号 2面
政府・行政刷新会議の下に設置された規制・制度改革に関する分科会(今週のことば)はこのほど、区分所有法の見直しなど住宅・土地分野5項目を含めた67項目の規制・制度の改革に向けた、現状の対処方針をまとめた。今後、関係府省庁との交渉などを通じて、6月をメドに分科会としての最終報告をまとめる。分科会長を務める大塚耕平・内閣府副大臣は会合後の会見で最終報告に向け、「関係省庁との交渉の結果、対応が決まるものや政務レベルで検討を続けるもの、論点整理にとどめるものも出てくる」と話した。現状の対処方針まとまる
住宅・土地分野では、既存建築物の建て替えや改修を促進させる規制改革がメーン。区分所有法上の決議要件の緩和や、借地借家法上の更新拒絶・解約の正当事由に建物の老朽化や耐震性を明示するなどの検討を、法律所管の法務省や住宅・都市行政を行う国土交通省に対して求めている。
区分所有法では、区分所有者数(人数要件)と所有面積に応じた議決権(面積要件)両方で、建て替えは5分の4、改修は4分の3の賛成が必要。分科会がまとめた現状の対処方針では、この要件が過大として、見直しの必要性に言及している。
ただ、決議要件が過大という意見は従前からあり、法務省と国交省では、07-08年度にマンション管理組合などを対象に、実態調査を実施。その結果、建て替え円滑化のために必要なことに、「決議要件の緩和」を挙げた管理組合は、10%にとどまるなどした。また、要件緩和により、建て替え費用を捻出できない高齢者の居住に関する問題なども指摘されている。そのため、法務省などは対応困難という姿勢だ。
これに対し、分科会がまとめた現状の対処方針では、「決議要件によって円滑な建て替えが進まない案件があることは事実」と指摘。併せて、高齢者などの保護の必要性を認めた上で、「弱者保護により、建替え賛成者の利益が失われることは不公平」としている。
こうしたことから、反対者に対する公的補助などと同時に、決議要件の緩和を含めて制度を見直すべきとした。具体的な検討事項は、▽決議要件の一般的緩和▽主要用途に合わせた決議要件の緩和▽頭数要件を充足していない場合の特別措置▽所在不明者の取り扱い▽棄権票の取り扱い--。10年度の検討開始を要請している。借地借家法正当事由も
一方、借地借家法上の正当事由も区分所有法と同様の問題を抱える。従前から賃借人の明け渡し交渉の不調が建て替えを阻害しているといった声があり、法務省と国交省は区分所有法と同様に実態調査や検討を実施してきた。その結果として、高齢者を始め正当事由により保護されるべき借家人が、一方的な立ち退きを強制されることなどの問題点をはらむことを指摘。こちらも対応困難という姿勢だ。
これについて、現状の対処方針では、公営住宅への入居や立ち退き料の支払いなどにより借家人を保護しつつ、建て替えに向けた円滑な明け渡しを受けることができる方策が必要と言及。10年度の検討開始を要請している。国交省成長戦略でも言及
区分所有法や借地借家法の規制緩和による建て替え円滑化は、従前からその必要性が叫ばれていたものの、個人の権利や弱者保護などの観点から見直しが進まなかった。
ただこのほど、国交省が公表した成長戦略・素案でも法務省との連携により、規制緩和すべきと言及されており、実際に見直しが進むか注目が集まる。
そのほか、住宅・土地分野の規制改革検討項目は、▽環境負荷の低減や高齢社会への対応などの観点から都市中心部の容積率の緩和▽既存不適格建築物の活用に向けた建築基準法の見直し▽建築確認・審査手続きの簡素化--など。いずれも10年度内に検討し、結論を得るよう求めている。













