大言小語 大型飲食店チェーンに負けるな
住宅新報 2010年5月11日 号 1面
「長い間ごひいきにしていただきましたが、四月三〇日をもちまして閉店させていただきます」。都内の、30年余の付き合いになる「おでん居酒屋」から閉店を告げる葉書が届いた。最近は足繁くとはいかなかったが、2月に顔を出した折は、知人の消息話などで、心地よい時間を過ごした。客の入りも悪くなく、常連の顔もあった。「迂闊だった」との思いが募る。
▼その文面で初めて「有限会社」であることを知った。同じ地方から上京して夫婦となり、修行して独立。40年以上も地元に親しまれてきた『名店』だった。店主は板前、奥さんは接客と勘定場をこなした。子供はなかった。店主は持病を抱えながらその道の後継を何人も育てたが、店を次代につなぐ後継者には恵まれなかった。不況にもかかわらず、それなりに繁盛していただけに惜しい。事業承継の難しさはここにも表れている。













