紙上ブログ 悪徳不動産屋の独り言 賃貸現場の喜怒哀楽 第49回 坂口有吉
住宅新報 2010年4月27日 号 5面
住宅ローン
耐震強度構造計算書偽装
金融機関の責任は…
2005年の暮れ、千葉県の姉歯元一級建築士が構造計算書を偽造していたことを公表して大騒動になった。この建築士による偽造を、国指定の検査機関も見抜けず、耐震基準を満たさないマンションが建てられ、購入者や入居者に文字通り激震が走った。
私は客観的に見ていて、どうしても納得いかないことがあった。関係者の中で唯一「何も責任を取っていない」存在がある、ということである。それは誰かと言うと、金融機関である。購入者は、頭金や支払い済みのローンや住む家を失くしたし、建築士も検査機関も社会的な制裁を受けている。国も、被害者を救済する為に税金を投入しているが、金融機関は「貸したお金はお返し頂く」との姿勢を貫いていた。理不尽な話である。審査とは
ならば、銀行の審査部は何の為に存在するのか。ローンを組む際には連帯保証人の収入などもしっかり審査するし、担保設定するならその物件に担保価値があるかどうかの審査も為されていなければおかしい。担保に取って融資した以上は欠陥物件であったとしても借主が支払い不能になって担保を提供したならそれで清算は終わって「カネ返せ」とは言えなくなるのが道理である。「貸したカネは返せ」というのは、その部分だけを切り取れば正しいのだが、あくまで、貸した側に落ち度がなければ、の話である。責任は誰が
この件に関しては、被害者の対応も拙かった。建設会社の社長に向かって「損害を全額賠償しろ」と感情的になって叫んでいたが、あれでは国民の理解や支持は得られない。「私たちにも落ち度があるので、支払った頭金やローンは諦めるし、移転先の家賃等も自分たちで出すが、国などの関係機関や銀行も相応に責任を取って頂きたい」と訴えるべきだったと思う。そうすればずいぶんと展開や負担が変わっていたのではなかろうか。
被害者数は309世帯で、残債が平均して2000万円だとすると合計で約60億、それは三大メガバンクの業務利益の僅か0.2%、住宅ローン残高の0.02%以下である。
今さら遅いが、話の進め方いかんでは銀行にも応分に責任を負わせられたと思っている。
(坂口有吉不動産・社長)













