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スタンダード会員限定知って得する建物の豆知識(34) 応力 構造計算に必要な数値

住宅新報 2010年4月13日 号 4面

 建築の構造的な説明の中で最初に出てきて戸惑うのが、「応力」という言葉です。建築構造に作用している力は可視的なものではありませんから、すべてを想像するしかないのですが、それでも骨組みが見えるものは上から下に力が流れているようには見えます。しかし「部材の応力」などと言われると、「?」となるわけです。応力とは『抵抗する力』

 例えば、土留めとしてコンクリートの擁壁を作った場合、土の重量がコンクリートに掛かります。この場合、コンクリート内部で土の重量に耐える力が発生して破壊しません。その力はコンクリートと編み込まれた鉄筋によって発生しているのですが、この抵抗する力を「応力」といいます。

 応力には、作用する力の方向性から「軸力(N)」「曲げモーメント(M)」「せん断力(Q)」の3種類があります。

 「軸力」とは、柱や梁など線材の軸方向に働く力で、その作用する方向によって部材を引き千切ろうとする引張り力と、押しつぶそうとする圧縮力の2つがあります。物体を回転させようとする力の働きをモーメントといいますが、曲げモーメントは部材の一端を固定し、他端に力を加え曲げようとする力で、部材には引っ張り応力と圧縮応力が発生します。せん断力はハサミで紙を切る時を想像していただければ理解しやすいのですが、作用する方向が逆向きの一対の力が部材に作用している時に発生する応力です。紙には対抗する力が加わり、紙の繊維が抵抗できなくなると破断することになり「紙が切れる」わけです。これらの応力は建築部材に単独で存在するわけではなく、組み合わさり、複合して作用しています。

 そこで構造計算では、部材に作用して応力を生み出す力を単純化して、「大きさ」「向き」「作用点」の3つの要素を仮定します。これを力の3要素といいます。

 また、大きさと作用する方向を持つ量をベクトル量といいます。ベクトルを考える場合には、便宜的に矢印を用います。矢印の方向が力の作用する方向で、全体の長さが力の大きさを表します。

 そして、複数の力を合成したものを合成ベクトルといいます。例えば2つのベクトルがある場合、合成ベクトルは平行四辺形の対点を結ぶ矢印になり、その大きさと方向が分かります。逆に、ある点に作用するベクトルを分解したい場合には、一方のベクトルを仮定すれば他方のベクトルは平行四辺形を描くことで得られます。計算通りにいかない時も

 構造計算はこのように、構造体に複雑に作用する力をできるだけ単純化して数値を積み上げていきます。しかし、現実の建築では部材の不均一や施工の練度によって、構造体は計算通りの強度を発現できないことも考えられます。そこで、安全率(または安全係数)という数値を最終的な計算結果に掛けることによって、総体的な安全性を確保しています。安全率は構造や部材によって異なりますが、通常はその材料や構造が破断する値の3分の2または70%が目安になっています。(建築家・中村

 義平二)

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