「雪隠(せっちん)詰め」 松岡英雄 新住まいのことわざ(6)
住宅新報 2010年3月9日 号 18面
便所のことを先人はいろんな呼び方をしてきた。厠(かわや)、雪隠(せっちん)、後架(こうか)、手水場(ちょうずば)、はばかり、ご不浄、お手洗い…。不潔なところ、人前であまり口にしてはならないところを間接的な名称ですます工夫だった。
「厠」は川の上に設けたことから川屋、母屋の側に建てたことから側屋という言葉が厠になったという。「雪隠」は、中国の雪竇(せっちょう)禅師が雪隠寺の厠の掃除を仕事としていた故事に由来している。「せついん」が促音化して「せっちん」になった。「後架」は、もともとは禅寺で僧堂のうしろに架け渡して設けた洗面所のことを指す。長屋の共同便所を総後架と呼んだ。夏目漱石の「吾輩は猫である」の吾輩の主人は、後架の中で謡をうたうので、近所で後架先生という渾名(あだな)をつけられた。
「雪隠詰め」とは、将棋で相手の王将を盤の隅に追い込んで詰めること。人を窮地に追い込むたとえにいう。













