◆シリーズ 団体トップに聞く--我がミッション 不動産協会理事長 岩沙弘道氏(三井不動産社長)
住宅新報 2010年3月9日 号 1面
「新成長戦略」担う覚悟
--自民党の長期政権が終わり民主党政権になりましたが、こうした政治環境の変化は、業界団体の在り方に影響をもたらしますか。
「いずれの政党が政権を担おうと、基本的スタンスは変わらない。必要な施策を提言・要望し、実現していくことが業界団体の役割だ」
「当協会の会員企業が取り組んでいる良質な住宅の供給や都市の再生は、国民生活の向上や日本経済発展のために欠かせないものであり、今後も推進していかなければならない。この点を理解してもらえるように、引き続き、必要な政策について適宜要望していきたい」
--日本経済発展のためにはますますグローバルな視点が欠かせなくなりました。業界団体も今後はより広い視野に立った活動が求められますが、当面の重要課題は何でしょうか。
「政府が昨年閣議決定した新成長戦略『輝きのある日本へ』では、経済成長のけん引役として大都市の再生、住宅投資活性化の必要性が明確に記載された。我々会員企業はそうした使命を担う重大な責務がある。住宅販売の促進にも一層努め、新築住宅着工を回復させなければならない」
「そのときに重要なのが地球環境問題への取り組みだ。新成長戦略でも『環境大国戦略』が最重要課題に位置付けられている。住宅やオフィスの更なる環境対応の促進や、緑化と景観に配慮した街づくりを推進しなければならない」
--新設住宅着工が100万戸を大きく割り込む時代となっています。これは例えば核家族世帯の減少などによる潜在需要の構造的変化と見るべきでしょうか、それとも世界的金融不況が招いた一時的現象と見るべきですか。◇構造的変化ではない
「昨年の着工落ち込みは、短期的・一時的要因の方が大きかったのではないか。具体的には、リーマンショック後の国内外の急激な景気悪化やそれに伴う金融環境の激変により、事業者側の資金調達環境が厳しくなり、不動産・建設事業者の破綻が相次いだことが大きい。また、消費者側も、所得・雇用環境の悪化に伴い、需要が減少したことが大きな要因となっている」
「今後、子どものいる家族世帯は減少していくが、高齢者や若年層の単身世帯、2人世帯は増加することが見込まれ、我が国の一般世帯総数は2020年まで現在より増加するとされている。構造的変化が新築住宅着工数の減少の大きな要因というのはやや早計ではないか」
--日本経済活性化に向け、不動産協会として今後最も重要な政策課題と考えるものは何ですか。
「3つある。(1)国際競争力を増すための都市機能更新(2)良質なストック形成のための住宅・都市整備(3)低炭素社会への移行のための都市環境性能向上--だ。つまり新成長戦略実現のための具体策について提言していくことになる」
--今後も経済成長は可能ですか。
「確かに、我が国には財政の回復、環境、雇用問題、少子高齢化対策、国際競争力の強化など早急に取り組むべき課題が山積している。その点、当協会の使命である安心・安全な住宅供給、都市・地域再生の推進、既存ストックの質向上、地球環境問題への対応などは経済波及効果・雇用創出効果が高い。会員企業が努力することで、内需に大きく貢献し、ひいては国民生活の向上、日本経済の発展につながるものと考えている」
--地域コミュニティの形骸化、家族の絆が弱まる中、超高齢化社会が暗い影を落としつつありますが、住宅・不動産業界は何をすべきでしょうか。◇多世代が暮らす街を
「我々は高齢者など特定の層にスポットを当てた街づくりを推進したいとは思っていない。それよりも、多世代が共に集い、楽しく生活できるコミュニティの再形成や、心から安らぎ、環境にも配慮した質の高い街づくりを進めていきたいと考えている」
「例えば既に湾岸部では、子育て世代からシニア世代まであらゆる世代が安心して暮らせるジェネレーションミックスの街を目指した取り組みもなされている。民間事業者がマンションの管理組合などと一体となって、新旧住民のコミュニティ形成に向け様々な活動を行っている。今後はこうしたハードだけでなくソフト面の充実などにも心掛けていくことが重要だ」
(聞き手・本多
信博)













