賃貸繁忙期を迎えて ピタットハウスネットワーク寺本高廣社長に聞く 「人材育成が奏功」
住宅新報 2010年3月2日 号 5面
本質は『正しい価格』
問われる賃料改定交渉力
--供給過剰、住み替え及び法人需要の減退で賃貸市場は厳しいようです。
「当社の場合、昨年比で集客は微増。ただし成約率は横ばいもしくは若干落ちている」
--厳しい中でも集客は伸ばしています。
「技術的にはインターネットを活用し、短期的にはテレビCMなどのメディア戦略、中長期的には当社の持ち味である店舗指導の徹底が奏功している。研修や接客コンテストなどを通じ、人材育成の風土を高めることは、長い目で見ると利益につながっていく」
--成約が伸びない要因は。
「ユーザーが十分に選び、時間をかけて吟味していることが1つにはある。需給バランスが崩れている一方、供給者に偏っていた情報の非対称性が解消され、物件情報だけでなく、選び方などのノウハウを身に着けたスキルの高いユーザーが増えた。情報が24時間容易に取れるようになり、その処理する能力も付いてきている。購買心理や動向、プロセスが変わり、それに対応できるスタッフが求められている」
--キャンペーンは。
「実施していない。それほど効果はなく、手法も古いと考えている。本質は商品を整理し、ブラッシュアップしていくことだ」
--本質とは具体的に。
「正しい価格が付いているかどうかだ。当社では一戸一戸スーパーバイザーに吟味させている。売買価格が下落したが、家賃は落ちていなかった。そのかい離を埋める必要がある。超低金利のため、例えば同じマンションでも家賃10万円と購入した場合の住宅ローン7万円といったように価格差があることをユーザーは知っている。これも空室を増やすからくりになっており、中古流通が活性化している要因でもある」
--賃料下落は続くということですか。
「エリアにもよるが、その傾向は否定できない。バブルがクラッシュして今は調整局面にある。人気、利便性、コストのバランスが取れてくるまではしばらく混乱は続くだろう」
--家賃改定の手法は。
「集客、ニーズなどの顧客動向をデータ化して提案できるようにしている。今後、空室はあふれかえってくるため、価格交渉が非常に大事だ。担当者がプロとして提案できるような研修も考えている。ユーザーは、不動産会社を見極め、最終的にプレーヤーを選ぶことになると思う。こういう時代を予見して10年前から人材育成を声高にしてきた自負はある」
--かなり早い段階の取り組みです。
「不動産業の課題は常に人材。いい人材が定着せず、いいサービスを提供し続けられないでいた。現在、評価基準や給与システムをFCに提供する計画があり、既に着手している。その一環として人材育成などを進める『(仮)いい会社にしようプロジェクト』を近く発表する予定で、将来的にはFCだけでなく業界に問いかけていきたい」
--いい会社とは。
「いい人材が定着する会社。これしかない。そのためしっかりした財務基盤を持ち、将来ビジョンを示せる優れたリーダーを育成し、従業員が安心して働けるフィールドを整える必要がある」
--リーダーの資質は。
「行動力、知性、パッション。それに従業員を精神的に引っ張るエネルギーだ。また優しい会社を目指すが、甘い会社を作ってはいけない。そこを履き違えると経営は立ち行かない」
--今後の事業展開に関連して、外国人のニーズが高まりそうです。
「具体的に海外に拠点を設ける考えまでには至っていないが、今月には中国・北京に行って市場視察と業界の人と会う予定はある。少なくとも国内の有名大学近くの店舗には、中国語を話せるスタッフを置くように指導している。特に中国人は人脈があるので、理想的にはOBの在籍がありがたく、紹介を得ていきたい」
--中長期的には海外拠点も検討していきますか。
「スターツグループは上海と広州に拠点を持っており、そちらで具体的に進む可能性も高いし、あるいは台湾も親日的のため入りやすいのではとも考えている。まさに模索中だ」
--高齢者の入居対応も欠かせません。
「社会的な使命としてオーナーを啓発し、システム化する必要がある。不動産会社はそこに入っていくのは必然で、あとはオーナーがそこに行くまでの道のりをどう最短化するかが課題だ。もっとも、空室がウナギ登りで増え、好むと好まざるにかかわらず、入居してもらわざるを得ない現状だろう」
(聞き手・佐藤
幹彦)













