知って得する建物の豆知識(31) Low-E複層ガラス 結露対策に効果
住宅新報 2010年3月2日 号 4面
CO2が削減できるエコガラスとして、最近の新築戸建て住宅の大半と、分譲マンションでも標準装備になりつつあるのがLow-E複層ガラスです。Low-EのEはEmissivityの略で「放射率」という意味です。放射とは、熱を持つ物体から発せられた熱エネルギーが別の物体に到達し、再び熱に変わる現象です。太陽熱の恩恵も放射があってこそと言えます。秘密は薄い金属膜
Low-Eはガラスの表面に極めて薄い金属膜を蒸着したもので、熱エネルギーを反射して透過させない機能を持っています。一般的な3ミリ単板ガラスの半分以下の熱透過しかありません。更に、光を通すが太陽光に含まれる遠赤外線は反射するなど「選択性」も併せ持っています。物体の断熱性能を示す熱貫流率では、単板ガラスが6.0W/平米・Kなのに対し、Low-E複層ガラスは1.7W/平米・K程度と約3.5倍の性能があります。これは夏期の暑い日射や外気温を伝えにくくするだけでなく、冬期において屋内の暖房熱の逃げにくさを示しています。遮熱か断熱か
また、金属の蒸着面をペアガラスの屋外側と屋内側のどちらにするかで性能が大きく異なります。屋外側に向けたタイプを「遮熱タイプ」、屋内側に向けたものを「断熱タイプ」と言います。遮熱タイプは太陽光の熱を遮りますので関東以南で、断熱タイプは屋内の熱を逃がさないため、関東以北で使うのに適しています。
Low-E複層ガラスの欠点は、屋内が若干暗くなることと、一般的な複層ガラスの約1.7倍の価格差があることです。またLow-E複層ガラスより更に高性能な真空ガラスもありますが、価格は複層ガラスの2.5倍です。
そこで、ある程度の価格で寒冷地や炎暑地向けほどの高性能は必要ないというケースに使われるのが、前述した複層ガラス(ペアガラス)です。手頃な複層ガラス
ペアガラスは2枚のガラスの間隔を開け空気層を設けたガラスです。一般的には「3ミリガラス+6ミリ空気層+3ミリガラス」といった構成ですが、網入りや合わせガラス(防犯ガラス)を組み合わせたものがあり、特殊な例ではブラインドを組み込んだものもあります。
ペアガラスの空気層は断熱層として機能(空気は水の30分の1、木の8分の1と熱を伝えにくい物質)しており、空気層の枠には乾燥剤が取り付けられます。価格は単板ガラスの1.5倍程度と手頃です。
サッシの天敵は結露で、結露水は枠を伝わってサッシ下の内壁面に染みこむなどして、建物の寿命を縮める場合が少なくありません。単板ガラスでは室内温度20℃、湿度50%の場合4℃でガラス面の結露が始まりますが、複層ガラスではマイナス7℃、Low-E複層ガラスではマイナス17℃まで結露は起きません。
複層ガラスやLow-E複層ガラスの寿命は、使用環境によって大きく異なります。封着材の劣化により空気層が湿気を帯びた段階が寿命で、ガラス面内側が汚れたり曇ったりするのが目安です。(建築家・中村
義平二)













