森田博子--キッチン・収納 現場の『すご腕』 第7回 食器の収納は一段一列 無駄なく、素早く、美しく
住宅新報 2010年2月2日 号 11面
私は長さを測る時、自分の体の一部を利用します。例えば、手のひら大、腕の長さなどを使うと長さや大きさに生活感が出てくるような気がします。
毎日使っている食器棚の奥行きが、どのくらいの長さかと聞かれて、正確な数字を思い浮かべられる人はかなり少数派だと思います。市販されている食器棚のもっとも標準的なサイズは奥行きが45センチです。
45センチというと、どのくらいなのかすぐにイメージできるでしょうか。45センチというと、私の腕の長さほどです。コーヒーカップなら2列から3列ほど、奥行きがあると思いませんか。
奥にしまった食器やカップを取り出すのが面倒で、結局使用していないという相談をよく受けます。いざ、料理を盛りつけようと、皿を取り出すのに、食器棚に腕を伸ばして手前のコーヒーカップをのけて、奥にある皿を取り出すのは使い勝手が悪いのです。
それでつい、いつもの皿で我慢をしてしまうことがよくあります。◆板前さんの仕事ぶり
奥行きのある食器棚は一見すると収納スペースがあって使いやすいように見えますが、「しまいやすく、取り出しやすい」という収納の原則から離れてしまいます。すし屋や小料理屋のカウンターに座って、粋な板前さんの仕事ぶりを見て気がついたことがあります。板前さんの後ろの棚に一段一列の収納スペースがありました。包丁捌きも見事ですが、振り向きざまに棚から調味料などを取り出す仕草はお客さんへのパフォーマンスです。一段一列の収納がなせる業だと、思わずうなってしまいました。
無駄なく、素早くしかも美しく動く、キッチン・パフォーマンスは「一段一列」から生まれるものなのです。
写真(住宅新報本紙に掲載)は、配膳台の下に作られた食器棚で、食器乾燥機から取り出した小さな皿を、幼稚園に通うお嬢さんがお手伝いをすることを前提にしてあえて下段に取り付けたものです。(もりた・ひろこ=キッチンスペシャリスト)













