中古・リフォーム活性化への現場 リビタ供給 「リノア多摩川」を見る
住宅新報 2010年2月2日 号 2面
政府・10年度予算案には中古住宅とリフォームや建物検査、保険活用、住宅履歴情報の蓄積を一つのパッケージで行う事業を支援する「環境・リフォーム推進事業」(330億円)が盛り込まれている。中古住宅やリフォームに係る市場環境を整備し、活性化することが目的で、国土交通省はこうした一体的な事業の支援に本格的に乗り出す構えだ。一方、事業者や消費者などは、中古住宅にリフォームを施す物件の魅力や、中古流通における保険制度の活用、住宅履歴情報の蓄積による付加価値をどう見ているのか。10年度からの本格実施に向けて09年秋に行った、中古にリフォームを行う住宅に対して、公的保険の活用や履歴情報の蓄積を支援する「住宅リフォーム推進モデル事業」に採択された、株式会社リビタが供給する神奈川県川崎市多摩区のマンション、リノア多摩川CORTEを訪れた。一体化支援事業で浸透図る
国交省
リノア多摩川は、リビタが05年から供給する1棟まるごとリノベーションシリーズの12棟目。築17年の社宅に、シリーズ共通で行っている建物診断や大規模修繕、外観・共用、専有部のリノベーションを実施した、5月末にも完成を迎えるマンションだ。
販売は09年11月初旬から開始されており、第1.2期販売で56戸に対して購入希望の登録は154組、即日完売となった。登録者は30代前半が3-4割、その前後の20代後半と30代後半を合わせると7割。いわゆる1次取得者層がメインだという。
この物件の魅力はどこか。
現地販売担当、リビタ・プロジェクトマネジメント部の勝岡裕貴さんに聞くと、「良心的な価格と設計自由度の高さを入口として、見学に来られるお客様が多い」とのこと。中古物件が共通して持つ価格の優位性はやはり、大きな要素のようだ。1棟まるごとシリーズの価格設定について、リビタ・PRコミュニケーションデザイン部の木内玲奈チーフは、「同エリア新築の7-8割の価格帯を目安にしている」と話す。
ただ、人気の要因について、木内チーフは「安さとともにあるリノベーションによる付加価値が絶対」と付け加える。その一つが、勝岡さんも触れた、専有部分のリノベーションに係る設計自由度の高さ。リビタが供給する1棟まるごとシリーズでは、基本の間取りに対して、追加工事費により、間取り変更や自由に設計できるコースなどを用意している。間取り変更で40万円程度からの追加工事費を要するが、過去1年半の間に供給した同シリーズ4棟の累計では、3人に2人が追加工事費の必要なコースを選択しているという。
更には、大規模修繕による配管などの刷新も大きな付加価値。特に、同シリーズでは、専有部だけでなく、共用部も刷新されるため、「安心の声は大きい」(木内チーフ)という。
一方、「住宅リフォーム推進モデル事業」として行う公的な保険の活用や住宅履歴情報の蓄積による効果はどうか。
保証・保険による安心感について、現地販売担当の勝岡さんは、「最初の見学時に、気にする人は少ない」と前置きしつつ、「いざ購入となった段階での大きな後押しになる」という。
一棟まるごとシリーズでは、シリーズ1棟目から第3者機関による建物診断やデューデリジェンスと、それに基づく大規模修繕を実施。既存住宅性能表示「A」判定を取得したうえで、内容を開示し、購入者の安心を担保してきた。そのため、新たに付保する公的保険による効果は、限定的とも思えるものの、リビタは「保険制度で、デューデリなどにお墨付きが出るということは、中古に一歩踏み込めない人を取り込むために有効と考えている」と話す。
また、購入者の中には新築と比べて、資産価値の目減りが少ないことを魅力の一つと捉える向きもあるという。同モデル事業で蓄積が求められる住宅履歴情報は、将来の資産価値を高めるため、国交省などが促進しているもの。消費者への普及や、蓄積していることによる実市場での価値への反映に今後、期待がかかる。
国交省が10年度から行う予定の「環境・リフォーム推進事業」は、戸当たり最大100万円程度の補助を数千戸程度の規模で行う方向で動いている。
中古住宅が持つ価格の優位性に自由なリフォーム設計、更には公的保険による安心の担保に、履歴情報による資産価値意識に対するアプローチ。これらを一体的に行う事業を国が促進することで、中古・リフォーム市場の活性化にどの程度寄与できるか、注目だ。
(葭本
隆太)













