「床の間の置物」 松岡英雄 新住まいのことわざ(4)
住宅新報 2010年2月23日 号 24面
床の間は客間に取り付けられる座敷飾りであるが、現代の住宅ではほとんど見られなくなってしまった。そもそも、客間というのがない。リビングは居間であるが、客間を兼ねるようになってしまった。住宅事情であるから仕方がない。客間として部屋ひとつを遊ばせておくわけにはいかない。
床の間はもともと室町の時代から高貴な家に造られていたが、明治以降に一般住宅にも普及したようである。戦後、国民は経済的には富裕になったが、床の間は文化として広く定着できなかった。それは、日本人の心の問題であろう。
「床の間の置物」とは、地位だけは高く立派に見えるが、実権のない人のたとえ。つまりは、置物は飾りに過ぎないということである。組織には往々にしてそういう人がいる。困るのはそれを承知で組織にしがみついている人が多いこと。もっと困るのは、そういう人間を陰で操っている存在である。













