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スタンダード会員限定ドイツ在住 環境ジャーナリスト村上敦氏に聞く 住宅性能の『燃費』表示を 分かりやすさで意識高揚

住宅新報 2010年2月23日 号 5面

省エネリフォームで地域活性化

 --ドイツの省エネ住宅事情は。

 「ドイツでは90年代から高気密・高断熱が進んだ。内断熱や充填断熱、外断熱など、様々なやり方でエコリフォームが施されたが、それに伴って、シックハウスやカビ、断熱材が濡れるなどの問題も浮き彫りになった。10年くらい続き、この間に工務店や施工事業者がノウハウを蓄積し、現在は問題がほとんどなくなった」

 --日本の住宅版エコポイントの効果は。

 「こうした問題をフォローできるのか、具体的に省エネにつながるのか分からないが、最初のとっかかりとしては有効だろう。まず始めないことには何も始まらない。日本にも長年にわたって高気密高断熱住宅を手掛けている事業者もある。少しずつ力をつけてくることになるのではないか。ドイツではホームセンターで自ら断熱材を買って施工する人もいる。業者任せではなく市民意識を高めていかないといけない」

 --住宅性能表示の1つとして、1平米当たり年間で何リットルの灯油が必要なのか明示する燃費換算を日本でも導入しようと提唱されています。

 「一般の人にQ値と言っても分からない。自動車のように1リットルでどのくらい走れるのか、分かりやすくすべきだ。日本で一般社団法人クラブヴォーバンを立ち上げ、燃費性能を評価する第三者機関の創設を構想している。概要が固まり、新築については実用化できる段階にある。将来的には中古住宅に導入し、『エコリフォームで燃費が上がりますよ』といった商談ができるようにしたい」

 --ドイツでの運用の仕方は。

 「1984年以降の新築から燃費性能の表示が義務付けられ、その後EU各国の国内法でも整備するように取り決められた。例えば、賃貸や売買の際、エネルギーパス(証明書)を提示する仕組みがある。資産価値も客観的に測れ、中古流通を活性化させる効果もある」

 --ドイツの住宅の燃費は10リットル前後だと伺いました。日本の平均的な住宅の燃費は。

 「20-30リットルになるのではないか。雪国だと室内に置いてあった生け花の水が凍っていたということもある。炬燵にまるまって我慢し、結果として燃費はかかっていないが、快適な住まいとは言い難い。客観的な基準が必要だ」

 --一般の所得層が容易に石油を手に入れられなくなるピークオイルに備える必要性を訴えています。

 「電気の消費量を全部減らすことはできない。パソコンを使うなとは言えないし、快適な生活をあきらめることもできない。削減の伸びしろが多い唯一の分野が建物の熱。新築は既存の技術でエネルギーがかからない家を建てられる。ヨーロッパを例にすると、沈みつつあるボートとも言える『北海油田』の石油の穴を新築住宅でふさいだ。あとは入ってしまった水をくみ出すこと、つまり既築の省エネリフォームだ」

 --省エネリフォームを進めるためには。

 「いかに浪費型の住宅であるかを知ることが大事で、ドイツではエネルギー計算の調査費用は補助金で賄われている。補助金をテコに定期預金などで眠っている個人資金が出てくることが、リフォームのよさでもあり、地域の工務店にも恩恵が巡る。更に、若者たちの雇用も創出され、消費にもつながる。若者たちが就職できない社会は階層の固定化につながり、低所得層がはい上がれない悪循環から沈下してしまう。ドイツも東西統合で、旧東ドイツから大量に人が流れて、失業率が上がって苦しんだが、省エネリフォームで雇用創出につながった」

 (聞き手・佐藤

 幹彦)※むらかみ・あつし

 71年生まれ。ドイツ・フライブルク市在住。大手ゼネコン勤務などを経て環境ジャーナリスト。ドイツ人の妻と一男一女の4人家族

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