トラブルを未然に防ぐ! 不動産調査の実務ノウハウ(71) 不動産情報の開示は既存住宅市場を活性化する
住宅新報 2010年1月26日 号 6面
アメリカでは、「宅建業者は医者や弁護士よりも社会的地位は高い」と、言われています。
08(平成20)年6月13日、国土交通省の諮問機関である流通市場研究会(座長・中川雅之日本大学経済学部教授)は、「既存住宅を中心とする不動産流通市場の活性化に資する制度インフラ構築に向けて」と題し、次のように「中間的取りまとめ」を発表しました。
「我が国の住宅は、平均して30年で『滅失』するが、アメリカでは55年、イギリスでは77年との統計があり(滅失住宅の平均築後年数)、また、既存住宅流通のシェアは、日本はわずか13%程度であり、アメリカの78%、イギリスの89%、フランスの66%と比較しても圧倒的に低い」と。欧米は日本の6倍となっています!
アメリカでは、不動産を売却した後に売主は瑕疵担保責任を負わない。その代わりに、買主は定められた期間内に自由に不動産の検査をすることを権利として保証されており、検査内容が気に入らない場合は検査後3日以内であれば無条件で契約を解除できます。
その結果、土壌汚染等を除き、不動産の瑕疵については買主の自己責任とされます。
この取引方法は、売主と買主との間の不動産取引の関係を衡平化するシステムです。
更に、取引をスムーズに行うために、売主しか知り得ないような不動産の瑕疵について売主が知っている事実を記載する「売主の不動産情報開示書」を法律で定めています。
例えば、カリフォルニア州民法1102節には「売主の不動産情報開示書」があります。
最後の条文にはこんな文言が記されています。「法律的なアドバイスを必要とする場合には、弁護士に相談のこと」
つまり、建築基準法などの法規制などについては弁護士に相談するシステムです。
このように、アメリカでは不動産について、各種専門家による情報開示システムが構築されているところが特徴的です。
この「買主が自由に検査会社に頼んで不動産を検査することができる期間」のことを『デューデリジェンスピリオド』と言い、アメリカのエスクロー制度の根幹を成しています。
この制度を経済的に支えるために、売主は仲介手数料の6%程度をエスクロー会社に提供し、エスクロー会社から売主側、買主側の各仲介業者に手数料が支払われます。その結果、買主は仲介手数料が不要となり経済的負担が軽減され、不動産に不安を感じる場合はデューデリジェンスピリオドを利用しての専門検査を選択することができます。
そして、宅建業者は売主と買主の斡旋、紹介のみに神経を使うことができるため、既存住宅の流通市場は活性化し、不動産トラブルも少なくなるというシステムです。
早晩、日本はこのようなエスクロー(情報開示システム)を導入する時期が来るでしょう。「不動産情報開示は既存住宅市場を活性化する!」と言えるかもしれません。
(エスクローツムラ代表取締役・津村
重行)













