後継者育成の『寺子屋』 SEAネットワーク「ism」
住宅新報 2010年1月19日 号 8面
不動産業者の課題の1つに後継者の育成がある。厳しい経済状況だけでなく、後継者難による廃業もある。永続的な企業とするためには、次世代のリーダー育成は必須だ。そうした中、スターツ総合研究所(井口一弘理事長)は、スターツグループと提携する不動産会社の全国組織「SEAネットワーク」の会員会社の後継者及びその候補者を対象に、後継者育成の会「ism(イズム)」を開いている。同ネットワークの分科会「経営者懇談会」の中で、経営者の課題に「後継者育成」が頻繁に挙がったことを受け、09年5月に発足させた会だ。後継者候補の最大のテーマであるリーダーシップを育成することを目的に、「従業員を成長させ、部下を成功へと導ける指導者を育てることに注力している」と井口理事長は話す。参加者同士の直言で『気づき』
従業員と共に自己成長
「イズム」の参加者は30代前半-40代後半の11人。2人が女性で、1人は母親でもある。職責は課長級から社長まで幅があり、異業種から転身した人もいる。「悩みや課題が多様で、立場の違いから、相互に影響を与えられるメリットがある」(井口理事長)。参加者の本音が出るようにエリアが重複しないようにしているのもポイントだ。
同会は、フリーディスカッションを活発化させるため、既に役員に就いている参加者とそのほかで2グループに分けた勉強会及び全員参加の総会からなる。09年には、勉強会を4回、総会を3回実施した。
勉強会は、毎回約5時間実施している。各社の事例を基に意見交換し、情報を共有。その後、懇親会も開いている。
単なる交流会とならないよう、自ら掲げた目標に対して行動計画を立てて実行し、修正を加えながら、新たな目標を立案するPDCA方式を採用。2、3カ月の周期でこれを繰り返している。
そのほか、オブザーバーとして、同ネットワーク加盟社の社長が毎回参加し、レクチャーする場を設けた。「社長の立場も勉強できる」と参加者にも好評だ。
1年目の一区切りには、参加者全員が互いに評価し合う「360度評価」を行った。
「『従業員が決して言ってはくれないアドバイスもあり、知らない自分に気づくことができる』という参加者の感想もあった」と井口理事長。この「気づき」が最大の成果だと強調した。
副産物的な成果として、篠崎充央事務局長は「会の場を超えて参加者同士が自然に交流を深めるようになったこと」を挙げ、更なる広がりに期待を寄せている。
同会では5月からスタートする2期生を募集している。井口理事長は「1年間で成長を実感し、手応えを感じている。志を持つ者が参加し、マンツーマンによる実践的な会、言わば後継者の『寺子屋』としていきたい。名経営者が育ってほしい」とエールを送った。
同ネットワークの加盟社数は113社(400店舗)で、加盟社による管理戸数は約30万世帯、オーナー数は2万7000人になる。【課題やディスカッションのテーマ】
社内での権限▽先代社長との関係及び事業承継の進め方▽ベテラン社員とのコミュニケーション手法▽自己成長のために行うこと▽従業員を動かすためのコーチング手法▽朝礼・終礼・個人面談のやり方▽給与体系・福利厚生▽従業員の意識改革及び定着率向上に向けた取り組みほか【参加者の声】●「『自らが変わらなければならない』ことなど、向上心を学んだ」●「会社経営や人生を見直すきっかけになった」●「自分の立ち位置を再確認できた」●「社内では相談できない課題を共有できた」●「エリアが異なるため利害関係が生じず、ざっくばらんな話ができて悩みを解決する糸口が見つけられる」ほか【オブザーバーのアドバイス】●「勉強し続ける経営者の姿勢を見せること、謙虚さと柔
軟性を持ち『気づき力』をつけること」●「ブレない自分力を練磨すること」●「『100年企業』にするためには次世代を担う人材の
育成が大切。つぶれない会社にするには経営者が自己を
良く知り、自己を確立する必要がある」













