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スタンダード会員限定原状回復ガイドライン改定へ 地場業者の声を聞く 具体化に期待と懐疑

住宅新報 2009年12月15日 号 2面

 賃貸住宅に係る紛争として依然多い、原状回復トラブルの未然防止を強化するため、行政が動き出している。国土交通省は、10年度に原状回復のガイドラインと賃貸住宅標準契約書の改定を行う考え。ガイドラインにおいて原状回復義務の範囲を具体化し、かつ標準契約書では、原状回復の義務範囲について、ガイドラインによることと明記する方向で検討している。併せて、賃貸住宅紛争防止条例を持つ東京都も、条例に併せて作成した賃貸住宅トラブル防止ガイドラインに係るリーフレットを改定する方針。国交省での検討と同調する形で行う構えだ。一方、地場の不動産業者は原状回復トラブルに対して現在、どう対処し、また行政の動きをどう見ているのか、その声を聞いた。

 「04年に行われた国交省の原状回復ガイドライン策定や、東京都の賃貸紛争防止条例施行によりトラブルがやや減った実感がある」

 東京都大田区に店を構える不動産業者はそう話す。国民生活センターの資料(上グラフ)によると、賃貸住宅に係る相談のうち、敷金や保証金についてのものは減少傾向。03年の1万5388件に対して、07年には1万3770件となっている。しかし依然、1万件以上の相談が寄せられている状況。「賃貸トラブルといったら、やはり原状回復が一番多いのではないか」(藤沢市)という声も聞かれた。

 現在、そうしたトラブルに対し、どの様な対処を行っているのか事業者に問うと、「契約時に説明をしっかり行うことが重要」という意見が多い。ただ、多数の業者が「契約時のことを忘れてしまう借主もおり、退去時にもめることはしばしば」と続ける。貸主との間に入り、個別に調整を続け、話し合いを行ったうえでの解決が現状だという。また一部、「最終的にはADR(裁判外紛争解決手続き)に至る例もある」(横浜市・鶴見区)と話す事業者もあった。

 こうしたトラブルの要因の1つに、「業者間でガイドラインの運用に差がある」(横浜市・磯子区のA事業者)ことが挙げられる。

 「友達は敷金を返してもらった。だから私も返してほしい」

 横浜市・磯子区のA事業者は原状回復義務と考えられる部分まで、返還を求められた経験があるという。そのため、国交省が実施する方針のガイドラインの具体化については「ぜひ、運用に差が出ないような形を作ってほしい」と期待を込める。

 その他の業者からも「ガイドラインを明確にしていただけると分かりやすい」(鎌倉市)といった期待の声は多い。

 一方、「どこまで具体化できるのか。それにマニュアル通りにいかない面がある。マニュアルを理解してくれない貸主や借主もいる。最終的には個別の調整が必要になるのでは」(横浜市・磯子区のB事業者)と懐疑的な意見もある。

 特に、「-センチ以上の傷は借主負担」など義務範囲の客観化は、国交省自体難色を示しているように、地場の不動産業者からも「割り切れない部分があり、それ自体トラブルの種になるのでは」(横浜市・鶴見区)といった反対意見が聞かれた。

 ガイドラインの具体化に期待を寄せる事業者は多い。一方、トラブルを経験し、個別調整を行ってきた事業者だからこそ、具体化やその運用の難しさを指摘する声があるのも事実だ。国交省は10年度に、ガイドラインの改定に向け、判例の収集や専門の議論を実施する方針。その議論の中で、どこまで借主・貸主を納得させる具体化が図れるか、注目が集まる。

 (葭本

 隆太)

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