不動産業と高齢者住宅 北越農林社長 志田常弘氏に聞く
住宅新報 2009年12月1日 号 7面
北越農林の志田常弘社長は本紙のインタビューに応じ、これからの不動産業と高齢者住宅事業との関連について語った。同社の高齢者住宅事業は04年、新潟駅前に介護付き有料老人ホーム「サン・ソフィア新潟」を開設したときに始まる。その後、社会福祉法人常陽会を設立。今では特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、小規模多機能型居宅介護事業所のほか、高齢者専用賃貸住宅、ケアハウスなどあらゆる介護事業に参入している。「これからは高齢者住宅こそ不動産業界の出番」と語る、その熱い思いを聞いた。多様なニーズに応える
--高齢者住宅に参入した理由は。
「高齢者が求めているのは施設ではなく住まいだ。住宅の供給は不動産業界の仕事。健常者向きから要介護まで様々な需要に応えられる住まいと、そこに必要な介護事業所を街づくりの視点も取り入れながら整備していくことこそ不動産会社の責務ではないか」
--稼働率(入居率)はどのぐらいですか。「ほとんどが100%に近い。これも不動産業のノウハウを生かしているからだと思う。介護施設は竣工してから数年で7-8割にもっていければ成功という既成概念があるが、それだと経営が苦しい。マンション分譲のように青田売りを目指すべきだ」
--そう言えば「サン・ソフィア新潟」の分譲住戸も販売後すぐに9割成約済みとなっていました。
「高齢者向け住宅も立地が大きな決め手となる。駅前の便利性があったからこそ成功した。もう一つの大事なポイントはターミナルケアだ。健常者として入居してもいつ介護が必要になるか分からない。そうしたときでも同じ居室で介護が受けられることが重要だ」
「提携団体として社会福祉法人を設立してからは特養、老健、小規模多機能などあらゆる機能を整備し運営もしているので、利用者からの信頼が生まれてきていることも大きいと思う。それに、病気になると入居者はいったん病院に入院し、また戻ってくるということが多い。そのときにいろいろな受け皿があると経営上もうまくいく」
--社会福祉法人をつくって介護ビジネスに本格参入しようと思ったキッカケは。
「少子高齢化が進むこれからは不動産分譲よりも福祉ビジネスだという直感はあった。そうしたとき、不動産業の方で少し余裕資金があった。それを基本財産として提供すれば社会福祉法人をつくることができるということだったので決断した。クロール(水泳)をマスターするには、とにかくプールに飛び込んでみようという気持ちだった」
--今後の高齢者住宅のあるべき姿は。
「エースとなるのは小規模多機能型居宅介護事業所だと思う。これを区単位で整備し、その周辺に高齢者向け優良賃貸や高専賃を配備していく。これは特養の変形版となる。つまり、特養は建物の中心にリビング・食事室があり、その回りに個室がある。そのリビングの代わりに小規模多機能を、個室の代わりに高専賃を配備するという発想だ。こうすれば、個室が完全に自宅になるので、高齢者にとって真の安らぎの場となる」
--自宅の近くで介護サービスが受けられるということですね。
「自宅にいながら、特養の個室と同じように介護が受けられるのが理想だと思う。そして、介護は究極のサービス業だという意識を全職員が持って、高齢者に接していくべきだと思う」
(聞き手・本多
信博)













