トラブルを未然に防ぐ! 不動産調査の実務ノウハウ(66) コウモリの存在と天井裏の確認調査義務
住宅新報 2009年11月10日 号 6面
こんな事例があります。
買主は、「神戸市西区のマンションに住んでいたが、そのマンションで害虫の被害に遭って家を替わりたいと思い」、築後10年未満の戸建住宅を約3000万円で契約を締結し、引越しをしたところ、「多数のコウモリが天井裏などに巣くっていた」ことが分かり、売主と仲介業者を相手に損害賠償請求の訴訟を提起しました。
99(平成11)年7月30日、神戸地裁・甲斐野正行裁判官は、「コウモリは、害獣とはいえないが、一般的には不気味なイメージで見られているといえ、本件建物に巣くったコウモリの数は極めて多数であるため、その不気味さも増す上、それによる糞尿もおびただしい量となり、本件建物の天井や柱を甚だしく汚損し不潔になったものであって、そのままでは、買主らにおいてはもとより、一般人の感覚でも、本件建物は右価格に見合う使用性(清潔さ・快適さ)を備えたものと言えないことは明らかである」
「従って、本件売買契約当時において既に多数のコウモリが天井裏等に巣くっていた本件建物は、右に見た意味で瑕疵があると言え、かつ、その巣くっていた場所に照らして、右瑕疵は、取引上、一般に要求される注意をもってしては容易に発見できるものであったとはいえないから、隠れたる瑕疵であったといえる」
よって、「売主は、買主らに対し、本件建物の売主として瑕疵担保責任を負う」ので、「約130万円を支払え」と、判決しました。
一方、仲介業者に対しては、「一般的に中古住宅においては、通常の居住の妨げにならない程度で一定の生物が棲息していることは売買当事者として当然予想し、特段の注文をしない限り受忍すべき事柄であってそれ自体直ちには建物の瑕疵とは言えないのであり、不動産仲介業者が、業務上、取引関係者に対して一般的注意義務を負うとしても、一見明らかにこれを疑うべき特段の事情のない限り、居住の妨げとなるほど多数のコウモリが棲息しているかどうかを確認するために天井裏等まで調査すべきとはいえない」と、しました。
これは、「宅建業者が行うべき通常の不動産調査」として、既存住宅の不動産売買における「天井裏等の確認調査義務」についての事例です。
ここで注意をしなければならないことは、「それを疑うべき特段の事情がない限り」で「天井裏等の確認調査をすべき義務はない」と、していることです。
例えば、「天井裏付近で動物や鳥類の出入りを目撃している」、「室内の天井付近に雨漏りの滲み跡を発見している」などという場合は、「天井裏の瑕疵の存在の可能性」について告知する義務がある、ということです。
事例のような不動産トラブルを防止するためには、買主が不動産購入の申し込みをする際、「専門検査を照会する文書」を作成し、買主が「専門検査の申し込みを『する・しない』を選択した事実」を書面で取得することが有効です。
(エスクローツムラ代表取締役・津村
重行)













