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スタンダード会員限定知って得する建物の豆知識(23) モジュールとモジュロール 互換性がポイント

住宅新報 2009年11月3日 号 4面

 モジュールとは工学的に1つの機能を持つ単位で、コンピューターなどの部品に使われる交換可能な単位です。建築でもモジュールという言葉が使われますが、ここでは寸法単位という意味です。

 昔から日本建築の基本単位は「尺」で造られていますが、これは肘から握り拳までの寸法と言われています。

 英語圏ではフィートという単位ですが、これは文字通り爪先(つまさき)から踵(かかと)までの寸法に由来しています。どちらも人間の身体の寸法が基になっているのは、面白いことです。そして、この「尺」と「フィート」のいずれもが建築的な意味での「モジュール」です。

 モジュールの目的は、全く異なる部材であっても寸法の系列が同じであれば、互換性があるということです。よく言われる例では、畳が尺で造られているため、昔は引っ越しの時に畳を持って引っ越したという話です。もちろん、東京、名古屋、大阪、九州で畳の大きさは微妙に異なりますが、同一地方の引っ越しであれば、引っ越し先の床に落とし込むことができたのです。

 一般建築ではメートル法が原則ですが、住宅の世界ではほとんどが「尺モジュール」で扱われています。一時は「メーターモジュール」も浸透しかけましたが、「尺モジュール」の方が便利であり圧倒的なシェアを持つため、ほとんど使われていません。

 しかし、バリアフリーの観点から「メーターモジュール」を採用している大手ハウスメーカーもあります。廊下や階段の幅に余裕が生まれ、好評を博しています。ただ、独自に部品を調達できる大手メーカーだから可能なことであって、一般的に「尺」の代わりに「メーターモジュール」を採用すると2割程度のコストアップになります。これは、床材から外壁材、建具、合板に至るまで、すべて流通量の少ない「メーターモジュール」を使う必要があるためで、割高にならざるを得ないわけです。

 モジュールと似た言葉に「モジュロール」があります。この言葉はフランスの建築家ル・コルビジェが提唱したモジュールで「黄金のモジュール」という意味です。コルビジェが整数比や黄金比、フィボナッチの数列(ある数字が前の2つの数字の「和」になっているような数列)などを組み合わせて、独自に作り上げたモジュールです。

 単純に一定寸法の繰り返しではなく、一定の級数で変化するモジュールですが、簡単に言えば肘から握り拳までの寸法の倍が腕全体の長さ、おへそを中心にして上半身と下半身がほぼ同じ長さ、膝から足の裏までの倍が足全体の長さなど、人体寸法に即したモジュールになっているのが特徴です。

 コルビジェはこうした人体寸法系列に即したモジュロールを使い、家具や建築を設計しています。代表的な作品にはロンシャンの教会などがあります。コルビジェに師事していた前川国男も表だっては使いませんでしたが、自邸や東京文化会館には効果的に使われています。

 (建築家・中村

 義平二)

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