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スタンダード会員限定更新料問題から考える 消費者保護と賃貸経営(下)

住宅新報 2009年11月3日 号 1面

改善進め、あるべき姿へ

 更新料問題の反応を東京圏の不動産業者に聞くと、「ポツポツ問い合わせがある程度」とする声が多くを占めた。混乱は今のところないが、一方で無策でいる業者もほとんどなく、更新料をテーマとするセミナーはどこの会場も満員の盛況だ。改善に向けた動きが活発化している。業者らが対応を改善

 東京都渋谷区の不動産業者は「慣習であることや規制法がないことを説明し、更新の際の手数料として納得いただいている。今後は、きちんと説明したことを確認する確認書を設けて署名・捺印してもらうことも検討している」と話す。

 東京都目黒区の不動産業者は、時間を掛けて説明し、「問題があれば遠慮しないで言ってほしい」と声を掛けるなど細心の注意を払う。今後は、(1)更新料をなくし、家賃を高くする(2)更新料を取って、家賃を抑えるの2つの契約を設定し、入居者に選んでもらうことも考えている。定期借家契約を研究

 ただ、借手市場にある現在、賃料アップは現実的には難しい。そのため、定期借家契約への切り替えを検討する動きもある。

 「大家検定」を実施する日本不動産コミュニティーの浦田健代表理事は、20戸の賃貸住宅を経営しており、うち16戸が定期借家契約。順次切り替えを進めている。

 一方、定期借家契約は借主の居住が不安定になり、入居希望者に敬遠されることを心配する声もある。消費者保護に逆行する可能性も指摘されている。

 こうした懸念に対し、賃貸管理などを手掛ける大友不動産(東京都板橋区)の大友哲哉社長は「住宅難の時代は入居者に不利になることも考えられたが、今は住宅が余っており、長く住みたい希望があれば叶えられる環境にある」と話す。全国的に約20%に達する空室率を示し、「入居を断らない大家さんが続出する」と予測する。

 同社では、定期借家契約の期間について、当初は約1年、その後、5年、10年と長くし、2年ごとに損害保険と家賃保証の契約手続きをすることを検討している。オーナーにとっては優良な入居者に長く住んでもらうことができ、入居者は安心して暮らせる。契約の手間を省く効果もある。

 大友社長は「滞納を繰り返し、トラブルを起こす人と優良入居者を一緒に保護する必要はあるのか」と疑問を呈し、定期借家は「真の消費者保護につなげられる」と期待を寄せている。

 ただ、課題もある。賃貸管理会社の収入が減ることだ。大友社長は、オーナーの理解を求め管理料の見直しを図ることを考えている。サービス内容と報酬を研究していきたいという。複数の選択肢を提示

 業界団体の幹部は「更新料の有無など賃料以外の料金を全国的に調べようとしたが、料金も用語もバラバラでとても調べ切れないことが分かった」と話す。

 そもそも、更新料はいつ頃なぜ始まったのか諸説あり、明確になっていない。

 貸主更新料弁護団代表の田中伸弁護士は「地域によって異なり、一元的に説明できないことが問題を複雑にしている」としたうえで、「入居をしやすくする生活の知恵として双方に一定の合理性があったからこそ、慣習として定着し、約100万件の契約に達した」と解説する。

 他方、浦田代表理事は、「更新料返還訴訟は後出しジャンケンと同じで、行きすぎ」としながらも、「慣例に甘んじて、何もしないでいた業者もおり、釈然としないまま更新料を支払っていた入居者もいるだろう」と業界側の対応の遅れも指摘した。更新をきっかけに退去するリスクもあることから、更新料をなくし、分かりやすい料金体系にすることも選択肢の1つとして挙げる。実際、浦田代表理事が経営する賃貸住宅の入居者にアンケートを実施したところ、「更新料や再契約料がなければ長く住みたい」と回答した人が7割を超えた。初期費用を低くする一方、賃料を相場より高めに設定していることもあり、入居期間は平均17カ月と短く、更新料収入がほとんど得られないことも分かった。浦田代表理事は今後、更新料及び再契約料は取らないことにした。消費者に分かりやすく

 更新料問題が、分かりにくい制度の実態を浮き彫りにした側面はある。

 こうした状況を改善し、トラブル回避のためにいち早く動き出したのが、日本賃貸住宅管理協会(日管協)だ。09年中に実質賃料表示制度を創設することを9月中旬に発表した。賃貸住宅の種別などにかかわらず賃借期間を4年と仮定し、「4年間に借主が支払う賃料などの総額÷48カ月=月額実質賃料」として表示する。計算の対象には、賃料、共益費・管理費、敷金、礼金、更新料などを挙げ、表示方法を今後検討していく。

 三好修日管協会長は「地域に根付いた慣習もたくさんある。それを一気に変えることはどうかと思う。時間をかけて、消費者に分かりやすい制度を構築にしていく」と話した。

 更新料問題は、入居者、オーナー、不動産業者それぞれに課題があることを明らかにし、改善に向けた動きの原動力になったとも言える。賃貸市場は過渡期にあり、三者が歩み寄りながら、あるべき姿を目指すべきだろう。

 (佐藤

 幹彦)

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