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スタンダード会員限定大阪高裁 更新料に有効判決 貸主側勝訴 礼金との比較で容認

住宅新報 2009年11月3日 号 1面

 7月の京都地裁、8月の大阪高裁、9月の京都地裁と、無効判決が続いていた更新料返還訴訟で一転、大阪高裁が有効を言い渡した。高裁レベルで判断が分かれたことになり、最高裁判所の判断が注目される。(4面・5面に関連)

 賃貸住宅の借主が貸主に既に支払った更新料26万円の返還を求めた訴訟の控訴審判決が10月29日、大阪高裁であり、本件の更新料を有効とし、控訴を棄却した。判決文によれば、本件の更新料の法的性質を「賃貸借期間の長さに相応して支払われるべき賃借権設定の対価の追加分ないし補充分」と定義し、「礼金よりも金額的に相当程度抑えられており、適正な金額にとどまっている」ことなどから、「信義則に反する程度にまで一方的に不利益を受けていたということはできない」として有効とした。

 判決後の会見で、貸主更新料弁護団の伊藤知之弁護士は「礼金との比較で更新料を認めたことが特徴的だ」などと述べた。一方、借主側の増田尚弁護士は、判決を不服として上告する方針を示した。「更新料がないと賃料高くなる可能性」に言及

 本件は大津地裁で3月27日に言い渡された更新料を有効とする判決に対し、借主であった会社員の男性(契約当時24歳)が控訴した事案。

 判決文によると控訴人の男性は、本件の建物を含む複数の物件を仲介業者から紹介され、00(平成12)年11月26日、滋賀県内の物件の賃貸借契約を結んだ。間取りは2DK(約35平米)。家賃5万2000円、共益費月額2000円、駐車料金月額3000円、敷金20万円、礼金20万円、更新料は2年更新で2カ月分。02年と04年の11月末に更新料10万4000円を支払った。06年10月に3回目の更新をする際、家賃を5万円に、更新料を旧家賃の1カ月分に減額することで合意。08年4月末ころに退去した。

 賃貸借契約書及び重要事項説明書に更新料支払い条項が明記され、借主が「礼金と同様、本件更新料が返還の予定がされていないものであることについても認識していたことが認められる」とした。

 また、仮に本件更新料がなかった場合、「月額賃料が当初から高くなっていた可能性がある」ことから、更新料がないことが、借主にとっての実質的な利益になったかは疑問だとした。貸主側「家主側に配慮」借主側「不当な判断」

 貸主側弁護団の伊藤弁護士は、「家主側の実情に配慮したバランスの取れた妥当な判決。『賃貸借期間が長期になれば、賃借権設定の相当の対価を礼金以外に受け取ってもよい』という考えから、礼金に代わるものとして更新時に更新料を徴収することが消費者契約法10条後段に該当しないと判断された」と解説した。

 一方、借主側の増田弁護士は「今までの判決とは異質の理解をしている不当な判断だ。貸主側は更新料の設定で家賃を抑えているというが、単なる見せかけ。更新料について『契約条項にあり重説で説明した』では納得いかない」などと述べた。

 原告の男性は「消費者保護の判決が続く中、今回の判決は心外な結果で残念だ」とコメントした。

 他方、国土交通省は「情報提供の有無が今回の判決の前提にあるならば、事業者にはしっかりとした情報提供をお願いしたい」と宅建業法35条に基づく、重要事項説明の厳守を改めて要請している。高裁で判断が分かれ、最高裁の判断に注目

 高裁レベルの判断が分かれたことについて田中弁護士は「異例なことではない」と述べた。最終的には最高裁判決での決着になる。

 

 

 

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 なお、礼金を巡る裁判の事例には、08年9月30日に京都地裁で言い渡された「礼金返還請求控訴事件」の判決がある。同事案は、家賃は6万1000円、礼金18万円、更新料は1年更新2カ月分。判決文によれば、「賃料の一部前払いとしての性質を有する」などとして礼金約定を有効とし、控訴を棄却している。実務に即した判断

 貸主更新料弁護団代表・田中伸弁護士の話

 実務に即した常識的な判断だ。本件の借主は、物件を押しつけられたわけではなく、自ら選び、料金も提示され、承諾している。「後になって返せ」という主張はおかしい。これまでの無効判決は、法的性質論から入り、趣旨不明と理論づけられていたが、今回は契約実態に照らし合わせて、踏み込んで検討している。判決のポイント

 制度自体に合理性

 首都圏で更新料問題の貸主側弁護士として活動する久保原和也弁護士

 判決のポイントは、更新料制度そのものには合理性があるとした点である。

 はじめに定めた契約期間に対する賃借権設定の対価は「礼金」であり、賃貸人としては、短期間に異なる賃借人との間で新規契約を繰り返し、都度礼金を取得することの方が経営的に有利だが、借地借家法で基本的に更新拒絶が認められないから、その代わりに賃借権設定の対価として受け取っているのが更新料であり、合理性があるとした。

 従来の有効判決から更に突っ込んだ判断をして、更新料制度そのものには合理性があるとした点に注目される。

 賃貸借の実態に即した判決であり、論理にも無理がない。消費者契約法を、消費者保護一辺倒ではなく、家主の人権にも配慮して慎重に適用しようとしている点で、消費者契約法の本来の適用のあり方が示された。

 ただ、借主側の上告が予想され、最終的には最高裁の判断となる。貸主側にとっては勇気づけられる判決ではあるが、賃貸経営上の問題としては、「更新料」を維持するか否か、慎重に検討する必要がある。

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