トラブルを未然に防ぐ! 不動産調査の実務ノウハウ(67) 瑕疵担保責任に関する買主保護合意書の有効性
住宅新報 2009年11月24日 号 9面
こんな事件がありました。
マンション建設業者が売主業者から土地を約4億円で購入したところ、「マンション建築のために地下掘削工事を開始したところ、本件土地には2つの建物コンクリート基礎があり、その内の1つは長さ約12メートル、幅約4.9メートル、深さ約4メートルの地下室用のもので、さらにその下に基礎杭が打ち込まれている」ことが分かり、訴訟となりました。
売買契約書特約には、「地中障害が発生した場合は、売主の責任と負担で解決する。ただし、本件土地上にあった木造平家建の建物の基礎の部分については、買主の責任と負担で解決する」旨の記載がありました。
97(平成9)年5月29日、東京地裁・永野圧彦裁判官は次のように述べています。
「仮に、いかなる地中障害があろうとも、買主の負担としたのであれば、買主としては地中障害の撤去に多額の費用がかかる危険があるから、本件売買契約前に、従前建物の基礎について何らかの調査をしたはずである。従前建物の基礎については、布基礎程度のものは買主の費用で撤去し、予想外の大規模な基礎があった場合には売主が撤去費用を負担する旨の合意であったといえる。したがって、金2987万円を支払え」と。
このように、「売主の瑕疵担保免責を有効としても信義則に反しない」ための判定基準は、「買主が損害を予測できる範囲内」であるかどうかの問題とされています。
最近の不動産取引においては、一部または全部を問わず、「売主の瑕疵担保責任免責特約」付きの売買契約が広く行われています。
その対策に、今後、「瑕疵担保責任に関する買主保護合意書」が有効と考えられます。
この書類は、「将来の損害について買主に概ねの予測をさせるため」に作成されるもの。
その主な内容は、「売主は一部又は全部の瑕疵担保責任を負わない」「取引対象物件には、想定をしていない隠れたる瑕疵が発見される可能性がある」「売主は誠実に不動産の検査情報の開示を行う」「契約締結後、買主は一定期間の間、自由に不動産の性能検査をする権利があり、検査結果の如何にかかわらず、無条件で契約を解除できる」などを互いに確認する、としています。
この自由な検査期間をデューデリジェンスピリオドと言い、この「売主の瑕疵担保免責」は欧米の既存住宅市場で主流ともなっています。
日本でも、将来的に、「売主の全部免責」の取引の流れは一層強くなるでしょう。
売主は、「売却後に、隠れた瑕疵の責任を負わない」ので取引後も安心できます。一方で、買主も、「自由に不動産の性能検査ができて、結果にかかわらず、少しでも瑕疵があれば、無条件で解約できる」と安心できます。
そうしますと、今後の不動産取引においては、売主の告知の真実性が、取引内容に占める比重を大きくすることになるかもしれません。(エスクローツムラ代表取締役・津村
重行)













