よく分かる不動産証券化とビジネス活用<第82回> 不動産証券化の現状と将来展望(53) 有識者に聞く 三菱UFJ証券不動産投資銀行部副部長 土岐好隆氏
住宅新報 2009年11月24日 号 3面
市場・運用規模拡大で投資資金を呼び込む(田辺)
中長期的に投資するもの、短期的なものなど、様々なスタンスの外国人投資家がいるとのことですが、その投資意欲を大きくするためにはどうしたらよいのでしょうか。(土岐氏)
海外の機関投資家に本格的にJ-REITに投資してもらうためには、J-REIT市場の規模をもっと大きくすることが必要です。また、一つひとつのREITも、もっと規模を拡大して投資口の流動性(売買のし易さ)を高めるようにしなくてはなりません。多額の投資をする機関投資家にとっては、流通量が小さいREITに投資すると、適切なタイミングでの売買ができなくなったり、小額取引でも価格が大きく上下するリスクが生じるからです。残念ながら、このJ-REIT市場の未成熟さが、海外のオルタナティブ投資家を参入させてしまった要因と言えるでしょう。(田辺)
私募ファンド(機関投資家など限定的な投資家を対象とするファンド)もJ-REITと似たような状況でしょうか。(土岐氏)
基本的には同じです。金融危機の影響で、デット(借入金)の金利が1%以上、上がっている一方で、不動産価格は、投資家が満足するような商品組成に至る値ごろ感までは下落していないため、エクイティー(出資)に関しても投資家の戻りが遅いようです。
ただ、投資家の私募ファンドに対する投資スタンスは、大きく変わりました。数年前までは多くの私募ファンドの目標IRR(内部収益率、投資利回りの指標)は10-20%、あるいはそれ以上で、売却益獲得をメーンにした短期運用が主流でした。今では、配当収入を長期に享受することが投資の主な目的となり、それほど高い利回りを要求することは少なくなりました。投資家は、レバレッジを効かせた高い利回りの追求から、損失の抑制に本来的な不動産の投資判断の軸を置くようになったと思います。
エクイティーの投資需要はあるので、デットの調達環境が変わり、金利が低くなれば、私募ファンド市場も上向いてくるでしょう。(田辺)
最後に、不動産投資市場の今後の見通しや課題についてお聞かせください。(土岐氏)
マクロ経済環境から判断して、不動産投資市場がV字回復することは期待しにくいところですが、徐々に上向きに転じてくると考えています。
J-REITに関しては、本来の特性であるミドルリスク・ミドルリターンとしての商品づくりをしていくべきでしょう。
いずれにしても、グローバル・マネー(特にオルタナティブの投資資金)が本格的に本邦の不動産投資に向かう前に、日本の不動産金融市場を早く復活・成長させる必要があると思います。













