よく分かる不動産証券化とビジネス活用<第81回> 不動産証券化の現状と将来展望(52) 有識者に聞く 三菱UFJ証券不動産投資銀行部副部長 土岐好隆氏
住宅新報 2009年11月17日 号 3面
(田辺)
前回、逆バリの個人投資家が目立つとのことでしたが、機関投資家のJ-REITに対する投資スタンスについて教えてください。(土岐氏)
機関投資家は売り一方のようなイメージがあるかと思いますが、ナンピン買い(保有している銘柄の株価が下がったときに、買い増しをして取得平均価格を下げる手法)も含め、相応の買い需要もあるようです。株価回復に勢いがなく、債券の金利も低い中にあって、今後はJ-REITの高利回り(全銘柄平均で6%前後)が見直されることになるのではないでしょうか。
国内機関投資家においては、「売り銘柄」と「買い銘柄」の選別を強めているようですが、今のところ、投資残高を大きく増やす段階には至っていないと思われます。また、個人の長期運用を目的とした資金をベースにした生保、年金基金には、その資金の性格から、今後大きな期待を寄せています。(田辺)
外国人投資家の投資スタンスは、金融危機によって変わりましたか。(土岐氏)
米国の投資家は、運用資金が世界中から入ってきているので、その投資スタンスは多種多様です。ただし、全般的には、経済合理性の原則に従い、相対的に割安な投資機会をグローバルベースで志向しているため、ここ数年、全世界的に不動産が大きく下落した中、幸いにも傷口が浅い(本邦市場は相対的に大きく下落していない一方で、回復のテンポも遅い)本邦不動産への関心は低く、欧米の主要都市や中国、オーストラリア等へ資金は流れています。欧州では、金融危機の影響が大きい金融機関のプロパー投資は慎重姿勢ですが、年金を中心とした個人の運用資金、引き続き選別的な投資を行っています。
そのような中、一番アグレッシブなのは、アジアの投資家です。香港、シンガポールはもちろん、現在の経済状況を反映し、それ以外の新興国の投資家にも積極姿勢が見受けられます。中東も引き続き積極的ですが、彼らには欧州の方が身近なようです。
リーマン・ショック後も、グローバル投資において、不動産は重要な対象であることには変わりなく、ポートフォリオの分散や成長性への期待感から、世界の各地域からアジアへ相当程度資金は流入しています。ただ、残念ながら、それが日本にはあまり流入しなかったというのが、実態ではないでしょうか。(田辺)
J-REITは中長期的観点から不動産で資金を運用するのが原則ですから、REITが調達する資金も、中長期の運用資金が望ましいと思いますが、外国人投資家のREIT投資の狙いはどういった点にあるのでしょうか。(土岐氏)
外国人投資家といっても多種多様であり、また、同じ年金であっても投資スタンスには違いがあります。不動産を独立したアセットクラス(類似のリスク・リターン特性を持つ資産グループ)の1つと位置付けているのか、オルタナティブ投資(代替資産への投資)として考えているのかによっても、投資スタンスは変わります。
同様に、中長期的な観点からJ-REIT投資を行うところもあれば、目標収益率を達成するために、短期間での売買益を狙ってJ-REITに投資する投資家もいます。後者の投資家にとっては、J-REITのボラティリティーが高いのは、好都合であると言えなくもありません。
(つづく)













