トップインタビュー 常日頃(17) リアブル・アセット・パートナーズ社長 上野浩志氏
住宅新報 2009年10月27日 号 8面
民主党政権に変わり、日本経済の新たな成長戦略が問われている。住宅・不動産市場では従来の新規供給促進から、既存ストックのバリューアップへ政策の軸足が移ろうとしている。06年1月に設立されたリアブル・アセット・パートナーズはそうした思想を先取りしたベンチャー企業だ。主に都心の商業地に散見される、立地ポテンシャルは高いのにその価値を十分に引き出せていないビルの再生を手がけている。社長の上野浩志氏は森ビルに在籍中、国内外の開発プロジェクトを数多く手がけてきた。その後、大手PM会社などを経て独立。当時はまだめずらしかった不動産コンサルティングというニュービジネスにあえて挑戦した思いとは何だったのか。そして、今回の不況克服策は--。
--永年務めた大手企業を飛び出した理由は。
「不動産会社に入社した動機は街づくりを通じて、地域貢献的な仕事がしたかったから。森ビル在籍中には国内再開発プロジェクトの組合事業とか開発設計業務、中国の大連、上海など海外ではオフィスビルや住宅開発の企画・開発マネジメントなど多彩な仕事に就かせてもらった。アメリカのIT会社と組んでブロードバンドサービスをビルに提供していく仕事にも携わった」
「当時は不動産不況で新しい価値をどう付加するかが問われていた。その後大手PM会社に転職し、ビルオーナーのためのマネジメント手法を従来型の不動産経営と融合させると、より高付加価値の不動産ビジネスができることも知った」
「それらの知識や経験を不動産コンサルティングというサービスとして、より広く提供していきたいと思った。ただ当時は不動産コンサルタントという仕事はまだなく、いろいろなプロジェクトに関わりながら形をつくっていった」
--独立系の強みをどんなところに発揮していますか。
「プロジェクトの立地、用途、規模などが自由に選択できるし、個別案件の特性に応じたプロジェクトチームも編成しやすい。今はどんな課題を抱えた案件でも専門家チームをつくって即座に対応できる自信がある。独立系はフィーの設定もフレキシブルだ」
昨年来の金融・不動産不況の影響は。
「事業収支まで出したビルの再生計画が途中でストップしてしまうなど影響は深刻だ。最近は融資をしていた金融機関側から相談が持ち込まれることも多く、単純な貸し剥がし・貸し渋りの問題ではなくなっている」
「しかし、そうした状況だからこそ、ビルオーナー側とテナント側のニーズをマッチングさせながら問題を解決していく当社のビジネスモデルが生かせるはずだ」
--新政権になって正に経済の行方がどうなるか、固唾をのんで見守っている状況ですが、今後の戦略は。
「景気の行方が読めないことは確か。オーナーも銀座など好立地にビルを持っている場合は様子見がちになっている。その一方では、資金繰りが苦しく短期の一時使用貸借でもいいというオーナーもいて、状況は混沌としている」
「テナント側もできるかぎり安く、試行的に短期に借りたいというニーズが出てきているので、うまくマッチングできればと考えている。従来、オーナーはでんと構えてテナントが来るのを待っていたが、中小ビルオーナーはもうそういうわけにはいかない。いかにテナントのニーズに近づくかという姿勢が求められている」
--中小ビルを再生し、地域を活性化させることで経済を底辺からよくしていく従来にない経済対策を新政権には期待したいですね。
「自民党時代とは違った新しい胎動というか、期待は強く持っている。当社も微力ながら地域や街づくりということを通じて日本経済の成長に貢献していきたい。これまでの当社の実績に対してオーナー側の声はまだ取りきれていないが、テナント側からは大手の外資系ブランドも含めて高い評価を得ている」
--具体的にはどういう評価を。
「彼らにとって、既存の物件情報はあまり役立たない。一等地は価格が高すぎる。そうした表に出ている情報ではなく、既存の中古ビル再生という中から新たに生まれてくる情報こそ価値がある」
「つまり、オーダーメイド方式に物件を無から創造できるという点が当社の魅力なのではないか。これからも、そうした具体的なテナントニーズを把握したうえで、立地条件を満たす物件オーナーに話をもっていくのが効果的だと考えている」
--地域貢献という理念に立ち返ると、地方とか高齢化というテーマも避けられないのでは。
「今後の大きなテーマと捉えている。これまでも地方では浜松市の商業ビル再生、九州での大型商業施設開発など手掛けているが、衰退した商店街の活性化なども手がけてみたい」
--この不況を克服していくための戦略を聞かせてください。
「これまではただ漫然と業務をこなしてきた面もあるので、今改めて我が社の特性とビルオーナー、テナントニーズとの結節点はどこに在るのかを原点に帰って探る作業をしている。地域貢献というシンプルな理念をもってこの業界に入ってきたことをいつまでも忘れないことが大切と考えている」
(聞き手・本多
信博)
<会社概要>所在地=東京都港区南青山1-3-1/事業内容=不動産ビジネスコンサルティング、バリューアップサービス、開発マネジメント電話=03-3401-8757













