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スタンダード会員限定トータルブレインのマンション最前線 「09年前半戦の総括と今後の展望」(下) 郊外部にチャンスあり

住宅新報 2009年10月20日 号 16面

 09年後半についても、厳しい市況が継続するようだ。

 10月13日号掲載の(上)でも記載した通り、夏前から建築費が急激に低下し、収支の改善が図れる状況にはなっている。事業推進を再開するマンションも増加していく見込みだが、いずれの物件も販売は年明け頃までズラし市況の様子を見たいとするディベロッパーが多いという。そのため供給戸数は大幅に落ち込み、年間3万3000戸程度になると予想している。

 そのような中、「あるエリアの需給バランスが、今後非常に良好になる」と指摘する。そのエリアとは郊外部だ。

 郊外部は圧倒的に中堅・中小ディベロッパーの主戦場だが、これらの会社が現在は『フリーズ状態』。一方、事業が継続できている大手ディベロッパーは、引き続き都心-都内近郊エリアで展開している。「郊外エリアの1次取得者層を対象とした、2000万-3000万円台のマンションが『エアポケット』になる可能性が高い」という。ただ、当然のことながらニーズはある。今後、顧客が積み重なっていくと期待されている。

 また、新たなマンションプレーヤーの出現も予測する。工事受注が激減しているゼネコンだ。きっかけは工事中物件のディベロッパー破綻による引き取り物件だが、引き取った物件をディベロッパーに卸すと買いたたかれるため、自社で分譲するという流れが起こっているようだ。まずは、このような受動的なデベ事業から入り、ディベロッパーとの共同事業や販売会社とのコラボによる事業参画など、「工事の売り上げ確保のために、1歩も2歩も踏み込んだ積極的なデベ事業参入も増加する」としている。「消費者目線」の価格設定は必須

 マンション市場回復のためには、「消費者目線の価格設定」を外すことはできない。09年前半は価格の下落基調も見られたが、ピークの08年前半と比べて3%前後しか低下していない(東京23区以外)。04年の旧価格との比較だと15-20%の乖(かい)離が見られる。「販売の回復には、今後もう一段の価格の低下が必須」と指摘する。「旧価格時の売値に戻すには、建築費が高止まっていた頃だと土地代を50-60%ダウンさせる必要があったが、現在は建築費が25%程度ダウンしたため、土地代も25%程度下げれば済む。決して無茶な数字ではない」としている。中堅の生き残り策

 苦しい状況が続く中堅ディベロッパーの生き残り戦略は、「事業資金の調達ルートの確保がすべて」だ。「一部のディベロッパーを除けば、金融機関からの融資はせいぜい土地代の7割、建築費に関してはまったく出ないという状況」だという。そこで、金融機関に頼らない3つの資金調達策を提案している。

 (1)資金はあるがデベ能力(特に販売力)のない異業種、ファンドなどに対して事業を提案しプロジェクトを受託(2)ゼネコンとの共同事業(JV)形式(ゼネコンのJV比率5%)により工事費の立て替えと販売状況による支払手法の導入(ゼネコン出資分は原価保証する)(3)商社とのJVによる商社金融の活用--。(1)は自社の情報収集能力や販売力を生かす方法で、(2)はゼネコン側にも大きなメリットのある形態。(3)はディベロッパーが土地を、商社が建物をという形でのJVだ。

 これらの手法を使って積極的な打開策を講じているディベロッパーも現れているようで、「生き残り組は様々な知恵を絞って行動する。人も会社も苦しい時ほど生きる術を考え出していき、たくましくこの苦境を乗り越えていく--。今は地力をつける時期だと、前向きにとらえて行動することが大事」と指摘している。久光氏の提言

 「金融の考え方を改めよ」

 マンション市場回復のためには、何が必要なのか。トータルブレインの久光龍彦社長に提言してもらった。(1)コーポレートファイナンスからプロジェクトファイナンスへ

 09年年初は、中堅ディベロッパーでも夏前頃からマンション用地の仕入れを再開すると予想していた。その頃には、資金面のメドもつき始めるだろうと考えていたからだ。ところが、夏以降も資金はタイト、融資に関しては企業の与信を見るため、ほとんどのデベに資金の道が閉ざされている。ここで問題なのは、金融機関の対応であり、金融機関の考え方を改めさせる必要がある。現在はコーポレートファイナンス一辺倒で、企業の信用力でのみ融資の判断を行っている。このやり方では、融資を受けられる企業はほとんどない。今必要なのは、ノンリコースローンの考え方、すなわちプロジェクトに金を貸すという姿勢だ。「物件主義」に立ち返り、プロジェクトを個別に厳しく審査し、プロジェクトの質で融資を判断することが望まれる。(2)プロジェクト資金の融資に対して国の保証を

 現在中小企業に対して行われている信用保証協会の保証制度のように、プロジェクト資金に関しても国がある程度保証して、銀行がもっと融資しやすい環境をつくることも必要だ。(1)のように金融機関の考え方を変えさせることも必要だが、それだけではなかなか進んでいかない。政府による「中小企業の資金繰支援の為の緊急保証制度」では、信用保証協会が100%債務保証するため、金融機関は貸し倒れリスクを負わずに融資が可能となっている。そのため、保証協会の枠内に関しては中小企業に積極的に貸し出しを行っている。(3)住宅ローン審査のハードル下げを

 昨年秋のリーマンショック以降、個人の住宅ローンの審査がますます厳しくなっている。販売物件によっては、顧客のローン申請件数のうち1-2割が通らず没になっている。現在、低金利の継続や政府による景気対策の一環での住宅ローン減税などが行われているが、肝心の住宅ローンが通らなければ意味がない。

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