不動産取引現場での意外な誤解 賃貸編(5) 他人物の賃貸借契約は成立しますか?
住宅新報 2009年10月20日 号 13面
Q
当社は不動産の売買・賃貸の仲介業者ですが、売買においては「他人物売買」ができますが(民法560条)、賃貸借の場合には「他人物賃貸」というのはできるのでしょうか。A
できます。売買の規定は、賃貸借の場合にも準用されるからです(民法559条)。
実際の取引としては、売買の場合には、売主が所有者からいったん所有権を取得して、あるいは取得しないで(第三者のためにする契約方式などの場合)、買主に所有権を移転するというかたちで一件落着させることができます(その意味で、赤の他人でもできると言えます)。
ですが、賃貸借の場合には、契約の性質上、長期間に渡って継続的に取引が行われますので、その他人物の所有者と賃貸をする者との間には、おのずから相当程度以上の信頼関係なり、資本関係がないと行いにくい、という違いがあります。
そのようなことからも、「他人物賃貸」の典型的なケースとして、親子会社間における商業ビルの「他人物賃貸」などが挙げられます。Q
親子会社間における商業ビルの「他人物賃貸」というのは、具体的にはどのようなケースをいうのでしょうか。A
例えば、大手の鉄道会社が所有している商業施設を子会社が管理・運営するというケースが一番想像しやすいと思います。
この場合は、あくまでも貸主は子会社であって、親会社の代理人として契約するわけではありません。Q
その場合の「他人物賃貸」に関する親子会社間の契約というのは、どのような契約になるのでしょうか。A
簡単に言えば、親会社が、その商業施設の「賃貸権限」を子会社に委譲するという契約になります。
それ以外の条項としては、一般的には、その子会社への権限委譲の期間(つまり、契約期間)、子会社がエンドユーザーに賃貸するときの最低条件、親会社に対する各種報告義務などが定められるものと思います。Q
売買の場合には、全くの赤の他人でも、その他人の所有物を売買することができるということですが、賃貸借の場合には、全くの赤の他人の物は賃貸することはできないのですか。A
そのようなことはありません。全くの赤の他人が、先に目的物を第三者に賃貸し(ただし、引渡しは後日)、あとからその目的物を所有者から賃借し転貸の承諾を得るという、先付け転貸の場合には、その赤の他人と第三者との賃貸借契約は有効です。













