よく分かる不動産証券化とビジネス活用<第74回> 不動産証券化の現状と将来展望(45) 不動産サイクルから市場の方向性を探る(2)
住宅新報 2009年9月29日 号 3面
不動産で無視できぬ
金融市場からの影響
前回地価高騰期の3つの特徴を見ました。もちろん、それぞれの時期ごとの環境要因は異なっているのですが、こうした現象を見ると、単なる経済環境以外の要因がそこに含まれているとも考えられます。
ジョン・K・ガルブレイスがその著「バブルの物語」で述べているように、「金融の記憶は極端に短いものであり、一定の期間を置いて人々が陶酔的熱病(ユーフォリア)に陥り、それがバブルを生み出す」という側面も一概に否定できないところです。また、15年前後の年月を経過すると、不動産取引の主役となる企業が変わったり、意思決定権者の世代交代が起きたりするため、同じことを繰り返す面があるのかもしれません。
今回の金融危機前の03-04年ごろからの地価上昇も、基本的には過去の地価高騰期と類似した特徴を持っています。すなわち、第1の特徴に関していえば、日銀によるゼロ金利の発動、量的金融緩和政策などが講じられ、金融は緩和状態にありました。更に言えば、これまでとは違い、日本だけではなく世界的な金余りの状態にありました。
また、今回の不動産投資の主役が、かつては日本には存在しなかった不動産ファンドであることは第2の特徴に適合します。不動産ファンドはその存在が新しいというだけでなく、これまで日本で中心的存在だった企業による「間接金融」(銀行からの借入)とも「直接金融」(株式等を発行して資本(証券)市場から資金を調達)とも異なる「市場型間接金融」であることも大きな特徴となっています。
平成バブル期から15年程度を経過していることは、第3の特徴に当てはまります。現在では、投資用不動産は主にその不動産の収益性に基づいて価格評価がされるようになっており、その点ではこれまでと市場構造が大きく変化してはいますが、少なくとも15年前後を周期とする不動産サイクルは今回も続いていると言えそうです。
それでは、これからも15年前後の不動産サイクルが続くと考えて良いのでしょうか。それに関しては、必ずしもそうではないように思います。現在では不動産と金融の融合が相当程度進展し、不動産市場に対する金融市場の影響が無視できないところまで大きくなっているからです。今後の不動産サイクルを考えるに際しては、金融サイクルを押さえておく必要があります。
そこで、金融サイクルを見ていくことにしましょう。エクイティ市場(株式などの自己資本調達に関する市場)の動きが不動産市場に及ぼす影響が大きくなったことから、ここでは株式市場のサイクルを取り上げることにします。
ここ20年間の株価の動きを見ると、おおむね5-6年の周期で上昇、下降を繰り返しています。株式市場がこれからも同様の周期を継続するかどうかは分かりませんが、少なくとも15年といった中長期のビジネスサイクルを持つ不動産よりも短い周期を持つことは明らかです。実際に過去50年間にわたる地価と株価の値動きを比較しても、株価は地価に比べて短い周期で上下を繰り返しています。
(つづく)













