『好調物件』 マンション 共通の魅力とは-- 強いアピールでまず集客
住宅新報 2009年9月8日 号 10面
物件を特徴付けるもののなかでも、割安感のある価格設定はユーザーを強く魅了するものだ。
コスモスイニシアと新日鉄都市開発が共同開発していた「ザ・晴海レジデンス」(東京都中央区、総戸数438戸)は、東京・銀座から2キロの距離圏にありながら平均坪単価が210万円。75平米前後で約4700万円の設定だ。近年分譲されたマンションとしては、その割安感で話題となった。
販売も好調で、今年のゴールデンウイーク以降これまでに出した412戸の販売はほぼ終了し、現在最終期26戸を案内中だ。「ほぼゴールは見えている」と販売担当者は話す。
伊藤忠都市開発が、つくばエクスプレス線三郷中央駅徒歩4分の場所で開発中の「クレヴィア三郷中央」(埼玉県三郷市、総戸数84戸・分譲住戸74戸)も、1次取得者層をターゲットとした好調物件だ。総戸数84戸のうち、第1期35戸が即日完売。現在49戸まで契約が伸びている。
81平米で3300万円台といった価格設定が、ユーザーのハートをつかんだ大きな要因だと分析している。コンパクト系でも
価格優位性は、コンパクトタイプのマンションにも当然のことながら当てはまる。
藤和不動産が分譲中の「ベリスタ横浜」(横浜市西区、総戸数199戸)の平均坪単価は195万円。「周辺相場の坪単価は250万円前後」(同社)からすると、割安感が際立つ物件だ。竣工まで約半年の期間を残し、9割以上の契約が完了している(9月4日時点)。
また、「ザ・晴海レジデンス」の隣接地で、コスモスイニシアが分譲中のコンパクトマンション「晴海テラス」(総戸数378戸)は、平均坪単価が211万円。販売開始から2カ月で6割以上が終了している。立地も大きな要素
これらの好調物件は、「アピール力のある価格設定」だけでなく、もう1つの共通項がある。「立地に対する高評価」という点だ。
「ザ・晴海レジデンス」と「晴海テラス」は、銀座まで2キロ圏でありながら、「住環境という視点からも、購入者には評価いただけている」と担当者は話す。「運河沿いに立地する開放感と周辺の緑地により、『都会』の喧騒から解放されたイメージ」(同)。また、近年住宅の供給が周辺で進み、今後も更に計画されているため、来場者からは「これほど住宅地として位置付けられる場所だとは思わなかった」と驚きの声が上がっているという。「価格と環境、利便性など総合的に評価されている」と自信を見せる。
伊藤忠都市開発のクレヴィア三郷中央は、通勤利便性が魅力として映っているようだ。
駅徒歩4分の立地で、ターミナル駅の秋葉原まで電車で20分。「価格、通勤時間、駅からの距離でネット検索すると、高いポイントで表示されるはず」(販売担当者)。東京都大田区、世田谷区、練馬区など反対側のエリアから集客できる物件力がある。
ベリスタ横浜も立地の評価が高い。横浜駅からは徒歩14分かかるが、最寄りの京浜急行線戸部駅だと徒歩3分。そのほか、相鉄線、横浜市営地下鉄線も徒歩圏だ。「横浜駅から歩こうと思えば歩ける」という点も評価ポイントになるという。
また、エリアの賃貸需要が高く、周辺での空室率が少ないといったことも、将来的な賃貸を考えている購入者に「いつでも貸せる」という安心感を与えていると分析する。アッパー層は立地重視
「価格面の魅力をアピールしてまずは集客し、そして立地や商品企画でも魅力的な提案をする」という販売手段が、1次取得者をターゲットとしたマンションでは多く見られる。これが高額系のマンションになればなるほど、価格面の訴求力は当然弱まる。
野村不動産と住友商事が、東京都世田谷区で分譲中の「プラウド蘆花公園」(総戸数87戸)の価格帯は5940万-8980万円(71-91平米)。中心価格帯が7000万円台と高額物件で、ターゲットは年収1000万円以上のアッパー層だ。5月から開始した第1期67戸は約4カ月で完売。周辺には竣工間近の値引き物件もあり、価格ではとても勝負できない状況だったというが販売は好調だ。「立地の良さが大きなウエイトを占めている」と担当者は話す。
世田谷アドレスの第1種低層住居専用地域でありながら、駅からは徒歩8分。教育機関や緑地・公園も近く、通りから1本入った閑静な住宅街。線路(京王線)を挟んで地位(じぐらい)が高いとされる南側であることもポイントのようだ。また、「通常、この条件だと500-600坪の小ぶりな敷地が主流になる」(同)なか、今回の物件は約2000坪。規模が大きければ、価格や管理費をある程度抑えられることにもつながる。
購入者の平均的な希望予算は、5500万-6000万円だったという。結果的に予算を引き上げることに成功した。「これほどの立地は滅多に出ない、ということを分かってもらえたのだと思う」(同)。残り20戸についても、9月中に終わらせるメドがついているという。
「ピンポイントの、ここしかない立地」と自信を持って話すのが、大京が手掛ける「ザ・ライオンズたまプラーザ
美しが丘」(横浜市青葉区)の担当者だ。「国交省の超長期住宅先導的モデル事業選定物件」「平均坪単価300万円の高額物件」といった話題のなか、総戸数39戸のうち36戸の契約が終了している。
プラウド蘆花公園と同じく、最終的に希望予算を引き上げたうえでの購入が目立つという。「周辺環境や道路づけの良さ、駅徒歩圏の第1種低層地域、地位の高いエリアなど様々な好条件が重なり合った立地」(同)。この立地の良さが、顧客に「予算を上げてでも買いたい」と思わせた最大要因だと分析している。当然、商品企画も
これまで挙げた好調物件には、当然のことながら工夫された商品企画が取り入れられている。
晴海レジデンスの「ホテルライクな生活」を思わせるデザイン性。クレヴィア三郷中央は、開放感のあるワイドスパン設計、エコをテーマとした企画内容などがユーザーに好評だ。ベリスタ横浜では、DINKSが好む充実したソフト面のサービスを導入している。
プラウド蘆花公園は、87戸の規模ながら4階建てに抑えることで落ち着いた雰囲気を敷地内でも実現。同じく低層階のザ・ライオンズたまプラーザは、「先導的モデル事業」に相応しいハイスペックが特徴だ。
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マンションの判断要素とされる「価格」「立地」「企画」。物件によって、まずアピールするポイントが違ってくるのは当然だ。ただ、最初の関門をクリアしたとしても、次の基準でふるいにかけられては最終的に選ばれることはなくなる。
3つの要素が合格レベルになって初めて、「営業力」を競い合う戦いができるといえよう。(福島
康二)













