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スタンダード会員限定知って得する建物の豆知識(19) 「外張り断熱」 長所多いがコスト高

住宅新報 2009年9月8日 号 4面

 冬には暖かく夏には涼しい居住空間を、できるだけ少ない消費エネルギーで達成する方法は様々試みられています。その1つに「外張り断熱」という方法があります。

 外張り断熱に対応する言葉は「内断熱」で、従来の戸建て住宅のほとんどの断熱方法がこれに当たります。

 内断熱では、断熱材は柱や間柱の隙間に充填され、床下や小屋裏(屋根裏)に入れる場合でも根太の隙間や野縁(天井を支えている骨組み)の上に置かれるのが一般的な施工方法です。

 内断熱では、建物の軸組や構造材の部分はまったく断熱されません。このため構造が鉄骨などの場合には、熱が構造材から逃げてしまい、有効な断熱効果を得るにはコストアップになりました。また、鉄に比べれば断熱性能の高い木材にあっても、水分を含むために構造材からの熱ロスが考えられます。熱は必ず高い方から低い方へ流れる性質があるので、断熱材と木材が混在する環境では、木材から逃げる熱は決して少なくないのです。

 それなら「建物全体を断熱材で包んでしまえば?」ということになるわけですが、この考え方がまさしく外張り断熱です。

 具体的な外張り断熱の方法ですが、外壁断熱材は仕上げ材のすぐ下に設置されます。外壁仕上げ材と断熱材の間には「通気胴縁」という下地材が取り付けられ、外壁下部から導入された外気が壁体内を通過し、外壁と同じ構造の屋根面を上昇して棟から排気されます。この通気により、湿気が断熱材の表面に付着しても空気の流通によって排気されます。また、空気の流通には外壁材や屋根材の熱負荷を緩和させる働きもあります。

 外壁と屋根が断熱できても、基礎の断熱を行わなければ外張り断熱は完成しません。基礎は寒冷地などで用いられる、外側に面する部分に硬質断熱材を地中まで打ち込む断熱基礎にします。

 さて、ここまできっちりと外張り断熱を行った住宅は気密性が非常に高くなります。いわゆる高気密住宅です。従って、きちんとした換気を行わないと内部で発生したガスや汚れた空気が住宅内部によどみ、かえって空気環境の悪い住まいになりかねません。

 一般には建材や合板から有害ガスが放散されると思われていますが、実は有害ガスを発生する樹脂を使った生活用品はたくさんあります。プラスティックの食器や子どものおもちゃ、家電品、ビニールコートされた豪華な本や雑誌、衣類、CD類などからも微量ながら有害なガスが発生しています。

 このような住宅で用いられるのが「計量換気システム」です。これは必要にして十分な換気を各部屋を対象にセントラル式で行うものです。全熱交換機を用いるので熱ロスもなく、効率よく安全な換気ができるシステムです。

 メリットの多い外張り断熱ですが、建築コストはアップします。また、外壁や基礎が厚くなるのでサッシ部の納め材が大きくなる、外壁に見合った本格的な断熱サッシが必要になる、計量換気システムの導入といった要因が更にコストを押し上げます。コストダウン要因としては、冷暖房運転費用が4割ほど低減できます。

 (建築家・中村

 義平二)

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