知って得する建物の豆知識(18) 風水害への備え 『ストロー効果』に注意
住宅新報 2009年8月25日 号 4面
これから台風シーズンが終わるまでは突風や竜巻、ゲリラ豪雨のニュースが多くなります。風水害の被害として、小さなものは建物の雨漏りから、大きなものは地滑りや堤防の決壊による流失まで様々です。地滑りや堤防の決壊は個人ではどうすることもできない問題ですが、住まいそのものについては予防策を講じることができます。
まず風の被害についてですが、ユーラシア大陸を後背に持つ日本ではこの季節、おおむね南から北に向かって風が吹きます。住まいを南面して建てるのが良いとされるのは、日当たりの面だけでなく、夏季の通風に関しても意味があるのです。通常時であれば南風は適度な通風をもたらしてくれるのですが、台風時には強い南風が建物に吹き付けることになります。建物が風圧を受ける場合、風を受けている南側面は正圧(プラスの圧力)、建物の北側面は負圧(マイナスの圧力)になっています。
また、この状態では建物の内部も弱い負圧となるため、サッシや屋根材の隙間、外壁材の隙間に浸透した雨水は毛細管現象によってにじみ上がってきます。この毛細管現象でにじみ上がる距離は、10センチ以上にもなります。更に屋内が負圧になっているため「ストロー効果(ストローでコップの水を吸い上げるような現象)」で雨水が更ににじみ上がり、拡散する距離は思いのほか大きくなります。普通の雨では雨漏りしないのに台風になると雨が漏る、という現象は屋内の負圧によるストロー効果が大きな原因になっています。
こうした現象を防ぐには、きっちりコーキング処理を施す、下地防水シートの重ねしろを大きく取る、毛細管現象が起きにくいように目地や隙間を大きく取るなどの策があります。ちなみに、高い風圧力がかかる高層建築のサッシなどでは、内外の風圧力の差を調整する機構が組み込まれており、雨水の浸透を防いでいます。
屋根も形状によって、風水害の被害を受ける度合いが異なります。飛行機の原理を例にとって説明します。
空気中を飛行機の翼が高速で移動すると、空気が翼によって上下に分かれます。翼の断面は下面に比べ上面が膨らんでいるため、上面の空気の方が流速が速くなり空気が希薄になります。その結果、翼は空気の薄い方に吸い上げられ飛行できるのです。
屋根の断面も、飛行機の翼ほど薄くはありませんが形状は似ています。屋根にも強い風が当たると、その上面には空気の薄い場所が発生し、屋根材の浮き上りが生じます。瓦などの飛散は、強風によって吹き飛ばされているだけではなく空気に吸い上げられているケースも多いのです。
こうした現象を防止するには、屋根形状を翼断面に近づけないことです。例えば、切妻屋根よりも寄せ棟屋根の方が風害には強いと言えます。屋根材については空気に吸い上げられても飛散しにくい、重ねしろの大きなものを選ぶようにします。住宅屋根材として多く使われている金属板なども、重ねしろの長さがポイントです。
(建築家・中村
義平二)













