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スタンダード会員限定よく分かる不動産証券化とビジネス活用<第65回> 不動産証券化の現状と将来展望(31) 有識者に聞くIPDジャパン マネージング・ダイレクター・西岡敏郎氏(4)

住宅新報 2009年7月21日 号 3面

(田辺)

 前回に続き、上場REIT(不動産投資信託)と私募ファンド(特定少数やプロの投資家によるファンド)の違いについてお伺いします。(西岡)

 REITは上場されているため、マーケットの影響を受ける存在であるのも事実です。マーケットが「合理的な」説明が難しい値動きをする時に、その影響を受けることも多々あります。保有資産の評価についても、私募ファンドならば鑑定評価書ベースで資産の再評価をしますので、評価に伴うタイム・ラグの問題はあるとしても、極端なノイズ(雑音)が入りにくいでしょう。評価がしっかりとしたものであれば、リファイナンス(借入金の借り換え)問題への影響も、市場ものとは違ったものになるでしょう。端的に言えば、金融市場の影響に振り回されるのではなく、純粋に実物不動産のリスク・リターンを享受したい場合は、私募ファンドへの投資を選択した方が良いという見方もあります。また、REITは上場維持のための管理コストがかなりかかります。

 とはいえ、私募ファンドの場合は、アセットマネジャー(ファンドの運用業者)に支払うフィーの透明性や流動性などの問題もありますので、投資家にとってどちらが良いとは一概に言えません。大事なことはファンドの組成者サイドが、個々の商品特性を投資家によく説明することだと思います。(田辺)

 最後に、日本の不動産投資市場の今後の見通しについてご教示ください。(西岡氏)

 不動産インデックスを作成しているIPDの性格上、会社としての将来展望を申し上げることはできないので、あくまでも個人的見解ということで言えば、一番の関心事は人口減少、高齢化が進んでいく中で日本の不動産はどうなっていくのかということです。

 現時点だけで言えば、私も含め多くの方は金融危機によるマーケットの混乱がいつになったら反転するのかについて最も関心があると思いますが、それも重要ですが、日本の人口構成の変化の中で、中長期的に日本の不動産がどうなっていくかを考えることも、同じくらい大切なことだと思います。

 人口減少や高齢化が、それぞれの不動産セクターにどのような影響を与えるのか。他方で、運用すべき年金資金は、着実に貯まっていくことになります。そうなると、老後を少しでも豊かに暮らすためには、年金の運用が重要課題になってきます。そのときに、株のようにリスクの高い金融商品ではなく、不動産のようなミドルリスク・ミドルリターンの商品が改めて脚光を浴びることになるのではないでしょうか。逆に言えば、年金資金の本格的な運用時代が始まる前に、日本の不動産投資市場において、ミドルリスク・ミドルリターンの商品が安定的に提供できる市場に育てておくことが重要だと思います。

 その意味では、本来は典型的なミドルリスク・ミドルリターンであるはずのJ-REIT(不動産投資信託)の投資口価格(株価に相当)の動きが激しい(ボラティリティーが高い)原因の1つに、例えば、市場規模がまだ小さいことがあると思いますので、今後とも着実に市場を成長させていくことが重要だと思います。同時に運用者サイドも、年金が投資するのにふさわしい金融商品となるような運用を心掛けるべきでしょう。

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