「社説」 中古住宅の見直し機運 ストック活用拡大の好機に
住宅新報 2009年7月21日 号 2面
不況の影響で新築住宅市場がかつてない低水準に落ち込み、簡単には盛り返しが期待できない状況にある。一方で、価格調整が進み、値段が一般需要者にも手の届く水準まで下がった中古住宅の動きが活発化している。住宅市場全体を考えるとき、当面は中古住宅を主軸にという局面が続くだろうが、これを好機として、前向きに中古住宅の見直し、ストックの有効活用を推進する時が来たととらえるべきだろう。■新築住宅市場の現況
国土交通省の建築着工統計によると、5月の新設住宅着工は6万2805戸(前年比30.8%減)と、年率換算で75万戸台と過去3番目の低い水準になった。とりわけ分譲住宅の減少幅は大きく(前年比48.1%減)、マンションだけだと前年比減少幅は60.3%(実数は6130戸)にも及ぶ。
一方、新築マンション市場も細り方が激しい。不動産経済研究所の調べによると、今年1-6月に首都圏で新規発売されたマンションは1万5898戸で、15年ぶりの4万戸台の低水準だった前年同期を26%も下回り、年間では3万5000戸程度と予想されている。これはバブル経済崩壊直後の91-92年ごろの水準だ。
新築市場低迷の背景には、長引く不況、需要減退と同時に、金融危機に伴う不動産事業者向け融資の縮小がある。価格調整で、市場は徐々に回復の兆しを見せてはいるが、供給の盛り返し機運はうかがえないままだ。
そうした中、健闘しているのが中古住宅取引だ。東日本不動産流通機構の調べによると、首都圏の戸建てとマンションを合わせた成約件数は今年1月から3075件、4137件、4755件、3837件、5月は3933件(前年実績3540件)と、いずれも前年水準を上回った。6月も中古マンションが前年比8%増の2829件、中古戸建ては同7%増の982件と勢いは続いている。平均成約価格は前年水準よりまだ低いが、成約件数で見る限り、中古住宅流通市場は、昨年9月の「リーマンショック」を乗り越えたことになる。
個人にとって最も高い買い物となる住宅が動き始めたわけだが、これをどう見るか。まず挙げられるのは住宅需要の根強さだ。それを実際の動きにしたのは価格の値ごろ感。昨秋以降、価格調整が一段と進み、取得可能範囲まで下がってきたことが大きい。用地や建築費の上昇で実需離れを起こした新築と比べ、弾力的な対応ができた中古住宅が先行した格好だ。■改修技術の向上も
住宅需要者全体ではまだ「新築希望者」が多数派を占めるが、実際の選択では「中古住宅」を選択する人の割合が増えているのも事実だ。今回の中古が堅調な動きを示しているのもそれを物語る。
また、「中古住宅」購入者の選択理由の第一は「価格」だが、品質の向上や、改修技術の向上がそれを支えているとも言える。増改築、リフォーム、リモデリング、リノベーションという言葉がかなり浸透してきた。手をかければ、中古住宅でも十分に自分流の住宅に改造できることが理解されてきたことも大きい。
新築供給が細っている今こそ、中古住宅活用に注目したい。













