レンタル収納スペース 資産活用策で脚光
住宅新報 2009年7月7日 号 5面
遊休不動産の有効活用やCRE戦略と収納スペースを求める消費者ニーズが相まって、レンタル収納スペース事業(RS)に注目が集まっている。「時代がヘコんでいるときに伸びる業態」(RS事業者)とも言われ、不況の影響でオフィスなどの空室が増えていることを背景に、オフィスや住居の不動産オーナーが用途を変更したり、新築したりする事例も目立ってきている。RS事業者の事例とRS業界団体の動きを紹介する。「3年で100店舗が目標」
ストレージプラス
ストレージプラス(東京都港区、渡辺貴衡社長)は、コンシューマーサービスの開拓を目指して三井物産が06年10月に設立したレンタル収納スペース専業会社だ。東京23区内に3カ所と川崎市に1カ所の4店舗を展開している。
そのうちの1つ「ストレージプラス溝の口」(川崎市)は、ロードサイド型コンビニ店の2階と1階の一部で営業している。
同社のレンタル収納スペースは、24時間・365日、荷物の出し入れができることが特徴の1つで、24時間営業のコンビニと親和性がある。夜間の防犯では同店舗の警備システムに加え、コンビニの看板や店内の照明が効果を発揮している。
利用者にとっても、荷物を梱包する資材をコンビニで手に入れられるほか、例えばゴルフを愛好する利用者の場合、プレイの際に収納しているゴルフクラブをゴルフ場へ宅配便で送る手間が省けるメリットがある。駐車場も確保されており、利便性が高い。
利用者の滞在時間は、荷物の出し入れに掛かる時間程度で、来店頻度も多くないことから、コンビニの営業を阻害する恐れもなく、相乗効果が図られている。
溝の口店の店舗面積は約77坪。以前は企業の事務所が入居していた。東急田園都市線溝の口駅徒歩12分の地にある。駅から離れた立地でも事業化できるRS事業の特性が生かされた。
08年3月の開設以来8割が稼働。渡辺社長は「郊外型ビジネスモデルとして成功を確信できた」とし、同様の店舗展開を加速させる。ローリスクで安定稼働
一方、都心の5階建て小規模事務所ビルの1フロアを、オフィスからレンタル収納スペースに切り替えて開設した店舗もある。フロア面積は約50坪。中小規模の会社が入居していたが、業績が良い企業は手狭になって出ていき、逆に悪ければ撤退と、入れ替わりが激しいことが課題だった。
その点RSは、満室稼働後は安定的に推移する特徴がある。もっとも建物内を小割りにするため、有効稼働面積は減るが、同ビルのオーナーは長期安定性と滞納リスクの低い安全性を理由に用途切り替えを決めた。
同社では今後、駐車場の上部空間や、競争力の低下した大型商業施設の上層遊休スペースの活用などを提案していく。また、土地を取得して利便性の高い専用施設を開発する取り組みも始める方針。例えば、ガソリンスタンドやロードサイド型外食産業店舗などの跡地を想定しているという。3年以内に100店舗の展開を目標に掲げている。「RS拠点3倍増を計画」
押入れ産業
トランクルームなどのFC事業を展開する押入れ産業(東京都港区、黒川久社長)では、(1)トランクルーム(2)レンタル収納スペース(3)文書保管・管理--を事業の柱にしている。
売上規模と拠点数は、トランクルーム事業が約25億円・104拠点、文書保管・管理が約8億円・15拠点、レンタル収納スペース事業が1億円・10拠点。
RS事業と文書保管・管理事業は拡大基調にあり、RS事業は3年以内に拠点を3倍増の30拠点として売上規模も3億円を計画、文書保管・管理事業は20拠点、売上規模10億円を目指している。
文書保管・管理事業では、法定保存文書や未整理の文書などのを紙文書をスキャナーでデータ化し、原本は警備及び保管技術を駆使した防犯システムを導入した専用倉庫で保管している。データ化した文書はCD-Rや電送で提供している。
保管場所の確保だけなく文書検索を可能にし、地震や火災などの災害に対応した危機管理策として企業から支持を得ている。
保存期間の過ぎた文書は粉砕及び溶解し、判読できないように処理するほか、要望に応じて再生紙の原料にしている。業界団体
生活提案で市場拡大へ
法令順守で課題も
一般に「トランクルーム」と言われる収納事業は、(1)倉庫業者が運営するトランクルーム(2)賃貸借契約に基づくレンタル収納スペース(3)野外コンテナ--の3つに分類される。
トランクルームは、倉庫業法に基づき寄託契約を結び、一定限度の責任を持って荷物を保管する。ワインや骨とう品、機密文書、カルテなどの保管にも適している。ただ、荷物の出し入れには一定の制限がある。「出し入れはしないが責任を持って預かってほしい」というニーズに応えている。建て替えや転勤時の家財の保管にも使用される。
レンタル収納スペースは賃貸借契約によりビルなどの建物の一部又は全てのスペースを収納に充てている。防犯機能を高めているほか、温度・湿度などを調整して収納品質を維持する事業者もある。出し入れの自由度が高いのも特徴だ。
野外コンテナは、安価な郊外遊休地の活用策として伸びているが、保管品質性能やコンプライアンスに課題があると言われている。
コンテナ倉庫は、建築基準法に規定される建築物に該当するとして、国土交通省の技術的助言が示されている。
RS事業者で構成される業界団体「レンタル収納スペース推進協議会」(多田充伸会長=押入れ産業専務)では、コンプライアンスの徹底、モデル約款の整備・普及、契約形態に関する一般消費者への周知活動などを行っている。
日本では成長途上にあるRS産業だが、米国では生活に根付いており、産業規模は2.7兆円に達し、商業用不動産では成長が著しい分野と言われている(06年の年間賃料売上、米国セルフストレージ協会調べ)。
RS事業者は、荷物を手元に置いておきたいという心理的障壁を取り除き、豊かな住環境を創出するライフスタイル提案で利用を伸ばしたいとしている。
同協議会の吉田得生事務局長は、トランクルームとレンタル収納スペースなど収納関連事業の現在の市場規模を約2000億円と推計、「今後5年程で9000億-1兆円規模に拡大する」と予測している。
また、今後の課題として吉田事務局長は「循環社会への協力」を視野に入れていると話す。
例えば、文書管理では法定保管期間を過ぎた文書のリサイクルなどを挙げている。余っていたり、いらないものをしまっているケースもあり、リサイクルビジネスとの連携も模索しているという。
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◇【レンタル収納スペース推進協議会】
加盟者は次の通り。押入れ産業▽小田急電鉄▽京王不動産▽京成電鉄▽相鉄不動産販売▽日本貨物急送▽ライゼ▽西武鉄道▽ダック▽ストレージプラス▽京阪電気鉄道▽ダイチ・コーポレーション













