快適古民家再生協会 福島から発信 『住む』古民家 途絶えかけた技術、復活
住宅新報 2009年6月16日 号 4面
福島県郡山市。JR郡山駅から車で20分の同市西田町に09年4月、展示住宅「快適古民家再生住宅」がオープンした。首都圏や関西圏など遠方からも来場者が訪れ、その数は現時点で5000人を突破。展示住宅を運営する「快適古民家再生協会」は、古民家を『生活空間』として継承すると共に、伝統技術の担い手を育成する目的で活動している。
展示住宅は、築120年の古民家。居室部分は吹き抜けの開放的な空間が広がり、黒く太い古材が梁(はり)や柱などの随所に生かされている。古材以外には地元産材を使い、壁は珪藻(けいそう)土や漆喰(しっくい)で仕上げた。
快適古民家再生協会は、紀洋建設(福島県須賀川市、根本一久代表)を本部として08年11月に発足した。地域の工務店や建材・設備メーカー、地域再生に取り組む地元議員など約30団体で構成される。改修技術を共有するほか、物件所有者や田舎暮らし希望者への情報発信も行う。
展示住宅は、同協会が手掛けた初の物件。国土交通省の「地域木材住宅市場活性化推進事業」に認定されており、一般に向けて3年間公開する予定だ。
古民家の継承について根本会長は、「文化財ではなく、生活空間として残すことに意味がある」と力を込める。その理念に基づき、展示住宅は『住みやすさ』に重点を置いて改修した。耐震工事を施し全面バリアフリーとしたほか、「冬場に寒い」という難題を克服するため、屋根断熱工法を採用。「床から空気が上がってこないので部屋が冷えず、暖房1台で十分暖かい」(根本氏)環境を実現した。反対に、夏は熱気の流入を防ぎ、窓から新鮮な空気を取り込めば冷房なしで過ごせるという。
改修費は総額3300万円。事務局を務める販売企画研究所(福島県郡山市)代表の東山雅広氏は、「古民家は建坪が大きく、手入れして住み継げば200年以上持つ。資産価値を考えれば、決して高くない」と言い切る。主に、首都圏に在住するリタイア層などの需要を見込む。
古民家の改修に当たっては、手仕事による技術が不可欠だ。例えば鉋(かんな)を使って木に反りを入れる工程などは、機械化することができないという。そうした場面で活躍したのが、熟練技術を持つ年配の大工職人たちだった。
「修行時代に身に付けた技術は、体が忘れない。年配の大工が中心となって現場が回り、若い層はただ見ているしかないような状況も少なくなかった」(根本氏)
工事期間は約4カ月。根本氏は、「古民家だけでなく、職人が再生していく様子も目の当たりにした」と振り返る。
近年、住宅建築の現場作業は多くが自動化されており、日本建築の技術が途絶えつつあるといった声も大きい。そうした状況に対し根本氏は、「古民家再生は、伝統技術の担い手育成にもつながる」と指摘する。実際に、協会には技術研修の依頼も寄せられているという。
今後、同協会ではネットワークへの参加を呼び掛け、県や地域単位の支部を展開していく方針だ。
展示住宅が盛況を収め、幸先いいスタートを切った「快適古民家再生」事業。今後の取り組みに期待が高まるところだ。













