見え始めたJリート再生 銀行融資に緩和の姿勢 官民ファンド創設に期待
住宅新報 2009年6月16日 号 1面
リーマンショック後、低迷していたJリートの株価(投資口価格)が順調な回復を続けている。一時の極端な破綻懸念は後退したようだ。不動産の最大の買い手として、一時の不動産市況の好況を支えてきたJリート。再びその役割を担うには、どのような道筋が必要なのだろうか。
(遠藤
信明)
Jリートは株価がピーク時の3分の1まで下落するという極めてショッキングな暴落を経験した。暴落したといってもJリート自身が不動産の運用に失敗したためではない。Jリートの決算は最近に至るまで好決算を連発してきた。
金融危機により資金調達が難しくなっていたことが株価低迷の主因だが、09年度に入りようやく落ち着きを見せ始めている。
不動産証券化協会の巻島一郎専務理事は、「海外のリートでは、バランスシートの調整が可能になり、増資を発表しているところも出てきた。しかし、日本ではまだそこまで回復していない」という。リート関係者は、異口同音に予断を許さない状況というが、回復への端境期にあると見られている。金融機関は現在Jリートのリファイナンスに応じており、政策投資銀行も政府の要請を受けJリートに対する融資を積極的に行っている。秋から償還本格化
Jリートが復活を遂げるまでに越えなければならない山として、投資法人債の償還がある。この秋から投資法人債の償還が本格化し、今後6390億円もの膨大な額の償還が順次行われていく。Jリートの投資法人債は、株式会社が発行する「社債」のようなもの。投資法人債の調達資金で物件を購入している。
投資法人債で調達した資金は必ず全額返還しなければならない。問題はその資金をどこから調達するかという点となっている。
通常なら、再度投資法人債を発行し、返却資金にあてればよさそうなものである。しかし、サブプライムショックやニューシティ・レジデンスの破綻で、投資法人債の市場は完全な麻痺状態にあるという状況だ。
そこで、償還資金には銀行から新たに借り入れて充てるか、物件を売却して換金して調達するという選択肢になる。
物件の売却では、昨今の状況化ではかなりの売却損を出す可能性が高く、ファンドの運用として望ましくない結果になりがちだ。銀行からの借り入れも、借り換えではないので、そう簡単にできるとは限らない状況だ。
この投資法人債の償還の問題は、Jリートの破綻リスクを増大させるものとして、投資家を不安にさせていた。
そこで、考えられたのが「官民ファンド」構想だ。
国土交通省不動産業課によると、「官民ファンドの主眼は、Jリートの投資法人債の償還がスムーズに行くようにする」(海堀課長)ことだ。設立は決まっているが、出資・融資など設立に関するルールの詳細は未定。秋からの償還の本格化に間に合わせるため、設立作業が続けられている。
一方で、官民ファンドは、運用者側のモラルハザードが指摘され本来あるべき市場の姿から慎重論が出されているが、健全に黒字経営を続けているリートへの緊急避難的な措置として必要性が意識されている。不動産証券化協会の会員各社も、官民ファンドの具体化に協力しており、官民ファンドがリート市場の安定化と活性化に寄与することが期待されている。外部成長機会窺う
不動産市況は依然として悪化を続けており、Jリートの物件についても、空室の埋め戻しに時間がかかり空室率が高まるなどの影響が出始めている。不動産の評価額も下落基調だ。
「賃料がそう下がっていない状況化で、不動産の価格が下がるということは、半面、高いキャップレートで物件を取得できるようになるということ。資金調達が出来さえすれば、現在の環境はJリートにとって決して不利なものではない」(巻島氏)という。
ただ、この資金調達は容易ではなく、Jリート各社で十分な成長戦略を描けているものは少ない。
「Jリートは外部成長の歴史だった。半分は出資、半分は借り入れで物件を購入して成長してきた。今後は、負債の比率(LTV)を35%ぐらいに下げ、身をかがめたところから始めるのがよいのかもしれない。そうして、新たな外部成長の機会をうかがうことになるだろう」(巻島氏)
(2面に続く)













