各地に誕生 バイオマスタウン(1) 神奈川県三浦市 漁業の町、再生の切り札
住宅新報 2009年6月9日 号 8面
三浦半島の先端に位置する、神奈川県三浦市。かつてまぐろの漁獲量日本一を誇った遠洋漁業や農業、日帰り客中心の観光業を基幹産業とする地域だ。だが近年は、農漁業を取り巻く状況が厳しさを増し、地域経済の低迷という課題に直面している。03年に市と三崎水産物協同組合などが「三浦地域再生研究会」を発足して以来、様々な地域振興策を模索してきた。
そんな折、04年に国が「バイオマスタウン構想基本方針」を発表。これを受けて同市では、沿岸魚類の水産加工残渣(さ)や、主力農産物である大根、キャベツの残渣といった地域固有のバイオマス資源などを利活用する事業計画をまとめた。05年に農水省よりバイオマスタウンとして公表され、翌06年には、同タウン構想を含む地域再生事業を市に代わり実施する「(株)三浦地域資源ユーズ」を設立。一連の取り組みに弾みがついた。
三浦市における同タウン構想の柱となるのは、5月中旬に建設工事が始まった「バイオマスセンター」の開設だ。主に管理、処理、堆肥棟の3棟から構成され、農水産物残渣などの資源を処理するほか、老朽化のため建て替えの必要が生じていた衛生センター(し尿や浄化槽汚泥の処理施設)の代替施設としての機能も併せ持つ、大規模な施設となる。
その仕組みは、施設に各種バイオマス資源を投入後、処理に伴い生成されるメタンガスを取り出し、施設を動かすエネルギーとして利用する。同様に堆肥棟で生産される堆肥を農家に提供することで、地域内で資源が循環する仕組みを構築する狙いだ。
センターは、市が取得した建設用地を三浦地域資源ユーズが無償で借りたうえで建設。総工費約17億円のうち、2分の1を「バイオマス利活用交付金」で賄い、残りは民間資金で対応するという。
地域資源ユーズは設立以来、建設と運転管理を委託する業者の選定や、建設予定地の生活環境影響調査などを手掛け、センター建設の準備を進めてきた。同社の吉田茂・常務取締役は、「この2年半余りを費やし、やっと工事にこぎつけた」と振り返り、「センター建設は事業の要。今はまだ着工直後だが、完成し運用が始まってからが本番だ」と気を引き締める。センターは、10年3月に完成する予定だ。「バイオマスタウン」
供給・流通・利用などの過程に携わる関係者が連携して、バイオマス活用システムを構築する地域を指す。国の政策「バイオマス・ニッポン総合戦略」の柱として、農林水産省をはじめとする関係7府省が推進する。市町村は、推進体制を整えたうえで構想を作成。地方農政局に提出後、関係府省による検討を経て公表される流れ。09年5月末時点で213の市町村が公表されている。※バイオマス…動植物に由来する有機物である資源で、化石資源を除いたもの。その利用により、大気中の二酸化炭素を増加させない。













