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スタンダード会員限定よく分かる不動産証券化とビジネス活用<第59回> 不動産証券化の現状と将来展望(30) 有識者に聞く ハイトマン・インターナショナル・木浦尊之氏(1)

住宅新報 2009年6月9日 号 6面

 「有識者に聞く」シリーズの9回目は、ハイトマン・インターナショナル・エルエルシーの木浦尊之マネージング・ディレクター(駐日代表)に、グローバルな視点から見た日本の不動産投資市場の現状並びに今後の見通しについて話を伺います。ハイトマンは66年に米国で設立されて以来、実物不動産、不動産証券、不動産モーゲージへの投資に係るアセットマネジメント業務を基盤に、ヨーロッパやアジアにも業容を拡大し、現在では196億ドル(09年3月末)の資産を運用している斯界有数の不動産投資顧問会社です。複数の投資家から集めた資金を合同で運用するばかりでなく、投資家から相対で大口の資金を預かり、個別口座で運用するテーラーメイド型のファンドが全体の70%を占めているところにも特徴があります。(田辺)

 最初に、ハイトマン・インターナショナル日本支店の業務展開についてご教示ください。(木浦氏)

 ハイトマンは日本におけるクライアントサービスを拡充する目的で、05年に日本支店を開設しました。その後、業務範囲・規模を拡大し、現在、国内では年金やリテールの資金を中心に、主に海外のリートを投資対象とするファンド5本(投資信託公募4本、私募1本)のマーケティング、クライアントサービス(運用は各本支店の運用チーム)業務に加え、各種私募ファンドのマーケティング活動を行っており、またアジア地域でのマーケティング、クライアントサービス業務も行っています。更に昨年、欧米でのアクイジション(物件取得)で実績のある担当者を異動させ、アジアにおける不動産投資チームも立ち上げました。(田辺)

 木浦さんは業務上、海外の投資家と接する機会も多いと思いますが、海外の投資資金はどのように動いているのでしょうか。(木浦氏)

 今のところ、米国からアジアへの投資はほぼ止まっている状態と言えるでしょう。そもそもデノミネーター・イフェクト(*)が効いている中で、リスク資産への投資資金のアロケーション(割当て)には消極的ですし、自国内の不動産ポートフォリオの再構築で手がいっぱいというのが実際のところだと思います。

 一方、ヨーロッパにはアジアへの投資に積極的な投資家もいるようです。そうした投資家には、これまでにアジアに投資して損失を抱えていない方たち、すなわちアジアに新たに資金を投じようとしている方が多いように感じます。

 アジアから日本への投資資金も相応のレベルにあります。エマージングマーケットの株、為替が思いのほか早く回復し、センチメントがプラスになっていることも背景になっていると考えられます。ただし、これまで日本に投資していなかった投資家の資金が中心です。

 

 

 ◇

 

 

 

 ◇*デノミネーター・イフェクト

 今次金融危機によって、欧米の年金基金や生保などは、株価や債券価格の下落でポートフォリオが棄損したため、これらの残高を縮小している。そうした中で、不動産への投資比率が突出するのを防ぐために、不動産価値が下落しているか否かにかかわらず、不動産への投資額を減少させている。結果的に、デット(借入)だけでなく、エクイティ(資本)資金の不動産市場への流入も枯渇している。投資比率算出の際の分母の減少によって生じたこのような効果を、デノミネーター・イフェクトと称している。

 (つづく)

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