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スタンダード会員限定「シニア」に挑む マンション業界(中)--『分譲型』に好機あり

住宅新報 2009年6月9日 号 1面

継続の意識、必要に

 シニア型分譲マンション(シニアマンション)を展開するにあたり、大きなキーワードとなるのが「継続的なつながり」だ。長谷工総合研究所の吉村直子主任研究員は、「購入者の、入居後の生活支援に対する期待は大きい」と話す。

 シニアマンションの権利形態は通常の分譲マンションと変わらないが、「生活支援サービス」の有無もしくはその手厚さで両者は区別される。70歳前後が購入者の平均年齢といわれるシニアマンションの場合、生活支援サービスの内容が購入を決める大きな判断材料の1つになることは当然だ。

 食事サービスの提供、体調不良など緊急時のサポート、医療機関への取り次ぎなど--分譲後も入居者と近い距離でのサービス提供が求められる。『売ったらそれで終わり』との揶揄(やゆ)もある通常のマンション事業とは、大きく異なる。

 03年にオープンし、首都圏での数少ないシニアマンションの1つである「インディペンデンスヴィレッジ成城西=4面に関連記事」(東京都狛江市)。総戸数69戸の物件で、サービスを提供するスタッフは、日中5-8人・夜間2人体制を取っている。春藤康仁マネージャーは、「結局は、サービスを提供するスタッフの人柄や優しさ、やる気などで物件の評価が決まる」と、これまでの運営を踏まえて話す。

 6年の間には、失敗事例もあったという。入居者に楽しんでもらおうと企画したサークル活動に全く人が集まらず、悩んだ時期もあった。ただ、悩むだけで終わらず「イベント小委員会」をスタッフの間で立ち上げ、改善に改善を重ねて試行錯誤を繰り返した。「散策会の途中で立ち寄る公園のトイレが、和式なのか洋式なのかといった現場調査なども行うべきだという意見も出た」(春藤マネージャー)

 物件紹介のパンフレットには、提供する様々な生活支援サービスの案内が記載されている。『サークル活動を企画します』。人が集まらなくても「企画した」ととらえるか、「何とか集まるように企画しよう」とするか--。パンフレットの文字の裏にあるその会社の考え。「それがその会社のノウハウ。入居者に向き合う姿勢につながる」と春藤マネージャーは話す。

 また、運営を重ねれば、介護状態が深刻になるケースや認知症の傾向が出てくる入居者も現れる。区分所有の権利があるとはいえ、場合によっては、退去した方が良いことを家族や本人に伝えなければならない状況にもなる。「当然のことながら、その入居者の限界値が分かるまでやれるだけのことはやる」(同)。特別にチームを組み、日々の状況や気付いた点など、その人の様々な情報を1冊のノートで共有する。「どのように対応したか、別の良い方法もあったのではないか。次はこのように行動してみよう--」。毎日毎日、時には数時間おきに克明に記録していく。

 介護施設ではないため、対応にも限界はある。ただ、「『しっかりと見守っています。安心してください』という私たちの気持ちは、入居者に感じ取ってもらえるよう心掛けている」と話す。

 

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 マンションディベロッパーにとって、大きなビジネスチャンスとなり得るシニアマンション。入居後の生活支援サービスについては、外部委託する選択は当然ある。ただ、売主として、継続的に事業に携わる責任感がディベロッパーには必要だ。長谷工総研・吉村主任研究員は、次のようにアドバイスする。「『売ったらそれで終わりではない』という意識は必要。ただ、身構え過ぎることはない。ニーズを顕在化させるためにも、ディベロッパーの頑張りが求められる」

 (福島

 康二)

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